2018年08月07日 11時16分

NTTコム「現時点では、ブロッキングの予定はない」、4月の実施発表はなんだったの?

NTTコム「現時点では、ブロッキングの予定はない」、4月の実施発表はなんだったの?
東京地裁(route134/PIXTA)

「漫画村」など、3つの海賊版サイトをブロッキング(アクセス遮断)する措置が、違法かどうか争われている裁判で、被告のNTTコミュニケーションズはこのほど、「現時点では、3サイトをブロッキングする予定はない」とする内容の準備書面を東京地裁に提出していたことがわかった。

●3サイトのブロッキングは、事実上、意味がなくなっていた

インターネット上に違法にアップロードされたマンガやアニメが無料で閲覧できる海賊版サイトをめぐっては、NTTグループ3社(NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、NTTぷらら)が4月23日、ブロッキングに関する法制度が整備されるまで、短期的な緊急措置として、3つのサイトに対して、ブロッキングを実施すると発表した。

NTTグループ側が、ブロッキングの対象としたのは、「漫画村」「Anitube」「Miomio」だ。この3つのサイトは、政府が4月13日、「プロバイダ(接続事業者)がブロッキングすることが適当」という緊急対策を決定した際、「名指し」されていたサイトだ。

NTTグループは当時、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「政府の緊急決定を受けて、ブロッキングに踏み切った」と説明。一方、政府の緊急対策決定以降、「漫画村」と「Anitube」は閲覧できなくなっており、「Miomio」もほとんどの動画が視聴できなくなっていたことから、ブロッキングの意味が事実上なくなっているという指摘があがっていた。

●NTTコミュニケーションズの準備書面

NTTグループがブロッキングに向けて準備をすすめる中、個人でNTTコミュニケーションズとプロバイダ契約を結んでいる埼玉県弁護士会の中澤佑一弁護士は4月26日、ブロッキングは電気通信事業法に違反して「通信の秘密」を侵害するものだとして、同社を相手取り、東京地裁に提訴した。

ところが、NTTコミュニケーションズは8月3日、「現時点で、3サイトをブロッキングする予定はない」「したがって、原告(中澤弁護士)の請求は直ちに棄却されるべきである」という内容の準備書面を提出した。

その理由として、知的財産戦略本部の「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」の第3回会合(7月18日開催)で、政府の緊急対策決定後の動きとして、次のような報告があったことをあげている。

(a)「漫画村」と「Anitube」がアクセスできない状態が続いている

(b)「Miomio」も「一時的に再生停止状態だったが、現在は限定的に視聴できる状態。アクセス数は緊急対策決定前に比べて激減している」

●NTTグループ「中止したわけではない」

つまり、ブロッキング実施の発表時、すでにサイトは閉鎖状態で、ブロッキングの意味が事実上なくなっていたが、今回の準備書面では、ブロッキングする意味がない状態になったので「ブロッキングする予定はない」としているのだ。これは矛盾しているように思われる。

共同通信は8月3日、「NTTグループがブロッキングを中止する方針を固めたことがわかった」と報じた。やはり、ブロッキングすることはやめたのか、弁護士ドットコムニュースは、NTTグループに問い合わせた。

同社広報室は「係争中の事案なので、コメントは差し控える」と回答。ブロッキングについては、(1)現在(8月6日段階)実施していないことはたしか、(2)政府の方針に合わせて適切に対応することには変わりはない、(3)中止したわけではない――とした。

NTTコミュニケーションズは「ブロッキングは緊急避難の要件を満たす限り、『通信の秘密』を害しない」と主張している。中澤弁護士は「いずれにせよ、NTT側が、方針変更を認めない限り、ブロッキングをやる可能性があるということだと考えられる。引き続き、訴えの利益があるとして、訴訟で争う予定だ」と述べた。

(弁護士ドットコムニュース)

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