ダウンタウンの松本人志さんが、自宅への落書き被害を受けたにもかかわらず、退去するときに自分で弁償したと「ワイドナショー」(11月27日放送、フジテレビ系)で明かした。
番組は、11月上旬にタレント・所ジョージさんの事務所「世田谷ベース」の壁に、悪質な落書きがあった事件を紹介。これに対し、松本さんが自身の被害体験を語った。
松本さんによると、被害を受けたのは大阪に住んでいたときで、自宅マンションにダウンタウンの悪口を書かれたという。松本さんは「争うのがバカバカしくて」、退去の際、自分で弁償したそうだ。
本来、落書きの被害者である入居者に弁償義務はあるのだろうか。また、管理者から弁償を要求された場合、どうすべきなのだろうか。大久保誠弁護士に聞いた。
●費用を負担する必要はない
これは賃借人(借り手)の「原状回復義務」の問題です。賃借人が賠償すべきかどうかは、常識的な注意を払っていたかどうか(善管注意義務)がポイントになります。
たとえば、部屋の壁にポスターを留める場合を考えてみましょう。画びょうで無数の穴が空き、壁紙を貼り替えなければならないとき、賃借人は原状回復義務に基づき、弁償しなければなりません。なぜなら、「善管注意義務」を逸脱するような使用形態のために生じた損害だからです。言い換えると、そうでない損害については責任を負うことはありません。
落書きの場合も同様です。借家の壁に落書きされた場合、それは賃借人の責任とは言えません。犯人が見つかっていようがいまいが、落書きを撤去するための費用を負担する必要はありません。物件の種類も問いません。逆に管理者は、落書きを撤去しなければなりません。
なので、管理者から弁償を求められたとしても、弁償する必要はありません。管理者から請求されても、管理者の側で落書きしたのが賃借人であることを証明できない限り、賃借人が支払う義務はありません。要求を突っぱねて良いのです。