自民・公明の与党がインターネットを使った選挙運動を全面的に解禁する公職選挙法改正案の骨子をまとめた。改正案を今国会に提出する予定で、2013年夏の参議院選挙から「ネット選挙」が解禁される見通しとなった。
与党の改正案では、ツイッターやフェイスブックで候補者の氏名を偽って用いる「なりすまし行為」を行った場合、公民権停止などの罰則を課すこととしている。
この「公民権停止」は、選挙違反事件の判決などで耳にする言葉だが、実際に公民権が停止されたら、どんな弊害が生じるのか。国会議員でもある丸山和也弁護士に聞いた。
●「公民権停止」で投票や立候補ができなくなる
「そもそも公民権とは、国または地方公共団体の公務に参与する権利のことで、公職に就く権利や選挙を通じて政治に参加する権利をいいます」
このように公民権の意味を説明したうえで、公民権が停止された場合にどうなるのかについて、次のように述べる。
「公民権停止が適用されると、まず、選挙権、被選挙権が停止されることになります。具体的には、選挙において、投票したり立候補したりすることができなくなります」
公民権停止で失われるのは、選挙で投票したり、立候補したりする権利だけではない。自分が支持している候補者を応援する「選挙運動」もできなくなるという。
「公民権停止の適用により、選挙運動も禁止されることになります。選挙運動とは、『特定の選挙で、特定の候補者のために、当選を目的として、投票を得たり、得させるために、直接または間接に必要かつ有利な行為』とされています」
難しい表現だが、具体的にはどのような運動ができなくなるのだろう。「選挙期間中、他人に対して、特定の候補者に投票するように呼びかける行為などができなくなります」
公民権が停止されると、選挙に立候補したり、候補者を応援する運動ができなくなるだけではなく、投票することもできなくなってしまう。民主主義国家の国民にとって選挙権は、もっとも重要な権利の一つといえるだろう。この権利が使えなくなることを避けるためにも、ツイッターの「なりすまし」などの安易な行動は控えるべきだろう。