このツイッターの投稿、面白い。じゃあコピペして自分もツイートしよう――。こんな風にツイッターにある他人のつぶやきを丸写して投稿する「パクリツイート」、略して「パクツイ」が問題視されている。他人のツイートを拡散する「リツイート」とは違って、自分オリジナルのツイートに見せかけることで、自分のフォロワーを増やそうとするのだという。
朝日新聞デジタルに5月上旬、ある「パクツイ常習者」のインタビュー記事が掲載された。18歳の男子大学生で、多いときで一日約300回の「パクツイ」をしていたと告白した。動機は「有名になりたい。威圧感を与えたい、みたいな」。「(罪悪感は)徐々にマヒしていきました」と話したという。
「パクツイ行為」に対する風当たりは、日に日に高まっているように思えるが、こうした「パクツイ」は、法的にも問題といえるのではないだろうか。著作権問題にくわしく、著作権をテーマにしたブログを運営している柿沼太一弁護士に聞いた。
●創作性があればツイートも「著作物」となる
「パクった対象のツイートが『著作物』にあたるのだとすれば、それをパクること、すなわち複製することは、著作権侵害の問題となります」
では、ツイートは「著作物」なのだろうか? 柿沼弁護士によると、著作物とみなされるかどうかは、ツイートの中身しだいのようだ。
「『著作物』と言えるためには、ある程度の創作性が必要です。パクられるようなツイートであれば、通常は創作性があるでしょうから、著作物であることが多いと考えられます。
したがって、パクツイ行為は、他人の著作物について、作者の名前を表示せずに、無断で複製・公衆送信していることになり、著作権侵害となります。
より具体的には、複製権や公衆送信権、氏名表示権などの侵害ということになるでしょう」
●利用規約上も「パクツイ」はアウト
とはいえ、ツイッターはもともと、そういう風に利用されるものなのでは?
「いいえ。利用規約上、パクツイがセーフとなる余地はありません。
ツイッター社の利用規約(2012年6月25日効力発生版)には、ツイッター社自身やそのパートナー企業がツイートを無制限、無償で利用できることは明記されています。しかし、それ以外の第三者がツイートを利用できる旨の規定はありません」
結局のところ、元のツイートが著作物と認められるような内容であれば、それをパクツイすることは法律違反となってしまうようだ。
ところで、パクツイがダメだとしたら、リツイートはどうなのだろうか? 柿沼弁護士は次のように話していた。
「確かにリツイートも複製行為ですが、通常、ツイートした人はリツイートについては黙示で許諾していると考えられます。また、リツイートは引用元のアカウントを表示していますので、氏名表示権侵害ということにもなりません」