ツイッターの投稿で名誉を傷つけられたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが漫画家のはすみとしこさんと投稿をリツイートした男性に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が11月10日、東京高裁であった。
岩井伸晃裁判長は、1審・東京地裁判決を変更し、はすみさんに110万円の支払いを命じた。1審が80万円とした慰謝料を、100万円に増額した。
リツイートした男性に対しては、1審判決後に新たにはすみさんのイラストが添付された投稿をリツイートして名誉感情を侵害したとして、さらに11万円の支払いを命じた。
●1審の判断は?
2021年11月の東京地裁は、はすみさんのツイートが伊藤さんの名誉を毀損し、名誉感情を侵害する違法なものと認定。
コメントをつけずにはすみさんの投稿をリツイートした他2人についても「被告らによる、被告ら自身の発言ないし意見でもあると言える」とし、賠償責任を認め、それぞれ11万円の支払いを命じていた。
はすみさんと男性が判決を不服として控訴していた。
●高裁の判断は?
岩井裁判長は、はすみさんが「伊藤さんが主張する性被害が虚偽であり枕営業だった」という旨のツイートをイラストも交えて繰り返しており、伊藤さんの性被害を認定した判決が言い渡された後もツイートを投稿していること、イラストの表現が伊藤さんをことさらに揶揄し侮蔑するもので名誉感情をさらに著しく侵害するものであること、多数の読者に閲覧されて拡散していることなどから、慰謝料の額を100万円と認めた。
男性は2021年11月の東京地裁判決の翌日、伊藤さんの社会的評価を低下させ名誉感情を侵害するイラストが添付されたツイートをリツイートした。
この新たなリツイートについても、岩井裁判長は「イラストの内容に賛同する意思を示し、その内容を拡散し流通させるリツイート投稿者自身の表現行為と解するのが相当」として、名誉感情侵害を認めた。