キャンプ、BBQ、海水浴、花火大会と、イベントで忙しい季節がやってきた。大人数で集まることが多い夏のイベントでは、記念写真を撮る機会もあるだろう。最近ではFacebookをアルバム代わりにし、携帯電話で撮影した写真を、撮ったその場から公開している人も多い。
大人数で写真を撮影する場合に便利なのが、Facebookの「タグ付け」という機能だ。タグ付けとは、Facebookに写真をアップロードする際、自分だけでなく写っている友人のアカウントも紐付けできる機能のことだ。これにより、タグ付けされた人のFacebookのページにもその写真が表示されるため、一斉に写真を共有できるというメリットがある。
しかし、こうした便利さがある一方で、水着姿や泥酔状態など、タグ付けされた人にとって、その場にいた人以外には見られたくない写真が自分のFacebookのページに表示されてしまうリスクがある。水着姿は男性の友人には見られたくなかった、仕事を理由に外出していたのに友人と飲んでいたことが家族にばれた、などのトラブルにも繋がりかねない。
それでは、もしFacebookにアップロードした写真に友人をタグ付けしたことで、その友人が隠しておきたかったことが発覚してしまった場合や、精神的苦痛を与えてしまった場合、アップロードした人には法的責任が生じるのだろうか。ネットトラブルに詳しい清水陽平弁護士に話を聞いた。
「今のところ直接そのようなトラブルの相談を私自身が受けたことはありませんが、Facebookについて質問を受けた際は、まさにその点の注意をしています。Facebookで写真を公開する機能は確かに便利なのですが、一緒に写っている他人のプライバシーを公開しているという可能性を常に考えることが必要です。」
「スマートフォンで撮影した写真には撮影日時のほかに、位置情報などが付加されていることもあり、その場合『いつ、どこで、誰が、何をしていたのか』を窺い知ることができます。このような情報を公開されてしまった人が『他人に知られたくない』と考えていると、原則としてプライバシー権侵害が生じているということになります(ちなみに、顔写真の公開だけでもプライバシー権侵害は成立する可能性があります。)。 プライバシー権侵害は、民法上不法行為となるので、損害賠償請求を受けるリスクがあります。」
「そうならないためには、Facebookに他人が写っている写真をアップロードする場合、事前にアップロードやタグ付けについての承諾をとっておくということが必要です。承諾があれば、侵害がないことになる以上、不法行為にはならないからです。」
自分にとっては何でもない写真でも、写っている相手が同じ感覚とは限らない。ウェブ上で簡単に情報を共有できる時代だからこそ、 “ちょっとした気遣い”ができるかどうかで、友人関係が変わってしまう可能性を秘めている。写真をアップロードする前に「タグ付けしてもいい?」と、ひと言声をかけるマナーは、友人関係を良い状態で保つためにも行った方がよいだろう。