2013年07月22日 16時00分

自転車衝突で9500万円の「賠償命令」 この金額は「珍しくない」

自転車衝突で9500万円の「賠償命令」 この金額は「珍しくない」
自転車事故での賠償額はどのようにして計算されるのか?

自転車で女性をはねた小学5年生(当時)の男児の母親に、約9500万円の賠償を命じる判決が7月上旬、神戸地裁であった。報道によると、事故は2008年9月、神戸市で発生。マウンテンバイクに乗って坂道を下っていた男児が、散歩中の女性(67)をはねた。女性は頭を打ち、現在も意識は戻っていないという。

判決は、少年の前方不注意が事故の原因だと指摘。事故を起こしたときの自転車の速度が時速20〜30キロだったという警察の鑑定書などを根拠に、母親の指導は不十分で「監督義務を果たしていなかった」と、母親の責任を認めた。女性の介護費などを考慮し、女性側へ約3500万円、保険会社へ約6000万円の賠償を命じた。

今回の莫大な損害賠償額はネットでも注目を集め、「これからは自転車保険に加入しなきゃな」といった声もあがった。自転車事故での賠償額はどのようにして計算されるのだろうか。また、もし支払いを拒んだ場合にはどうなるのだろうか。香川朋子弁護士に聞いた。

●事故被害者への賠償金額は、自動車も自転車も同じ

「自転車は、道路交通法で定められた車両の一つで、分類上『軽車両』となっています。よって、自転車を運転する際には、自動車同様、道交法上のさまざまなルールを守って走行しなければなりません。

また、自分の行動によって生じる法的責任をきちんと理解できないような子どもについては、その保護者がルールを教え、注意を払って運転させなければなりません」

――つまり、今回のようなケースでは、母親に責任がある?

「そうですね。母親が事故の責任を負う——ここまでは、皆さんも違和感をお持ちにならないのではないかと思います。どちらかといえば、その金額の大きさに驚かれた方が多いのではないでしょうか」

――自転車事故でこれほど多額の賠償が発生するケースはある?

「実は、損害賠償額は、被害者の被った損害を法的に評価して算出します。自転車だからといって、自動車と区別されて低くなるわけではありません。今回の判決のように9500万円の支払額になることも珍しくありません」

――なぜ、そんなに高額になる?

「被害者の方が死亡されたり、高度の障害を負われたりした場合には、現実に支払った治療費や通院治療に対する慰謝料だけでなく、将来の収入補償や介護費、介護のための自宅改造費等も賠償額に含まれることになります。

高額の慰謝料(後遺障害等級1級や死亡時の場合には約2800万円)も認められます。自転車は気軽で手頃な乗り物ですが、場合によっては巨額の賠償金請求を受けるリスクを常にはらんでいるわけです」

――もし「支払えない」と言ったらどうなる?

「いったん賠償を命じる判決が出されたら、支払う義務が生じます。仮に支払いを拒めば、所有する不動産や預貯金などが差し押さえられたり、給料が差し押えられたりなどの強制執行手続を受けることになります」

これほど高額の賠償も決して珍しくはない——。自転車に乗る人やその保護者は、自分が負っている責任の大きさを再認識する必要がありそうだ。自転車を頻繁に使う人は、万一に備えて、自転車保険への加入なども考えてみるべきなのかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

香川 朋子弁護士
平成14年大阪弁護士会登録、平成18年ハートフォードシャー大学院(英国)法学修士号(LLM)取得、平成19年ロンドン大学ロイヤルホロウェイ経営学修士号(MBA)取得、大阪弁護士会子どもの権利委員会未成年後見人PT所属

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