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スマホで地図を見ながら自転車走行、道交法上の問題は?
使っても大丈夫?(自転車を停めて撮影しています)

スマホで地図を見ながら自転車走行、道交法上の問題は?

自転車で配達するUber配達員を始め、走行しながらスマホを確認する人たちを時折、目にすることがある。手持ちではなくスタンドを固定して、メッセージや地図を確認しているようだ。

しかしこの行為に法的な問題はないのだろうか。道路交通法ではどのような行為を禁止しているのか。辻佐和子弁護士に聞いた。

●禁止されている行為は?

ーー道路交通法ではどのような行為を禁止しているのでしょうか?

道路交通法は、自転車の運転者の義務として「公安委員会が安全を図るために定めた事項を遵守すること」を定めています。そしてこれを受け、各都道府県の公安委員会が、スマホを操作しながら自転車を運転することを禁止する規定を設けています。

例えば東京都道路交通規則であれば、次のように定めています。

 (運転者の遵守事項) 第8条 法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。 … (4) 自転車を運転するときは、携帯電話用装置を手で保持して通話し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。

つまり、スマホを手で保持して通話しながら運転することや、画面を注視しながら運転することは道路交通法で禁止されているのです。

ーー道路交通法では携帯電話を「手で保持して通話し」とありますが、スマホをスタンドに置いた状態は「保持」に当たるのでしょうか?

自動車の運転中も「手で保持しなければ」使用できないスマホなどの通信機器の使用は禁止されていますが、この「保持」は手に持った状態を指します。

自転車の場合についても同様に考えると、「保持」は「手に持った状態」を指すことになります。そのため、スマホを手に持たずスタンドに置いた状態は「保持」には当たらないといえるでしょう。

ーーチラッとみることと「注視」とはどのような違いがあるのでしょうか?

「注視」とは、画面を見続ける行為を指します。何秒以上で「注視」に当たるかは具体的に定まっておらず、一概には言えません。

ひとつ参考になるのは、自動車のカーナビや速度計を見る時間の長さです。

カーナビや速度計はチラッと見ることで情報が把握できるように作られています。そのため、通常の使用方法でカーナビを見る程度のわずかな時間であれば、「注視」には当たらない可能性が高いといえます。

ちなみに国土交通省のwebサイトは、カーナビについて「画像を見る時間はできるだけ短くしましょう(状況により異なりますが、1秒以内が望ましいといわれています)。」と言及しています。

そのため自転車の場合も同様に、運転中に画面を見る時間は1秒以内に留めておいたほうが無難です(ただし、しつこいようですが状況によります。周囲の状況によっては1秒でも「注視」と判断される可能性がありますので、ご注意ください)。

●赤信号で停車中なら問題ない?

ーー運転中ではなく赤信号で停車している時に操作することは問題がないのでしょうか?

自動車の場合については、「自動車等を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き」スマホ等を通話のために使用したり、画像を注視したりしてはいけないとされています。そのため厳密には、赤信号で自動車が停止している間のスマホ操作自体は道路交通法に違反するとはいえません。

しかし、スマホを操作していると周囲の状況を把握できなくなるため、停車中とはいえ危険です。青信号に変わったことに気がつくのが遅れ、慌てて発車してしまい事故になる、ということも考えられます。

自転車についても同様に考えられます。東京都道路交通規則は「自転車を運転するとき」にスマホを保持して通話したり、画面を注視したりすることを禁じていますが、赤信号で停止している間のスマホ操作は禁止していません。

ただし、信号待ちでのスマホ操作が危ないことに変わりはないため、周囲に十分気をつけ、最小限の操作に留めるようにしましょう。また、スマホ操作をしながら走行を始めてしまえばそれはもちろん違法なので、注意してください。

●ワイヤレスイヤホンで通話したら?

ーースマホスタンドに置いたまま、ワイヤレスイヤホンで通話することは問題ないのでしょうか?

前述したように、スマホスタンドにスマホを置いておくだけなら「保持」には当たらず、違法ではありません。

しかし自転車運転中のイヤホン等の利用については、各公安委員会は以下のような定めを置いています。(以下は東京都道路交通規則より抜粋したもの)

高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと。ただし、難聴者が補聴器を使用する場合又は公共目的を遂行する者が当該目的のための指令を受信する場合にイヤホーン等を使用するときは、この限りでない。(※「車両等」には自転車も含まれます。)

要するに、ワイヤレスイヤホンで通話しながらの運転は公安委員会の定めに反し、違法です。通話をするなら安全な場所に自転車を停車してから行うようにしてください。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

辻 佐和子
辻 佐和子(つじ さわこ)弁護士 弁護士法人よつば総合法律事務所
交通事故・債務整理・相続・企業の法律問題、不動産に関わる問題に特化した法律事務所

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