日弁連は7月、預託商法について、金融商品取引法(金商法)の規制対象として明確化することを求める意見書をまとめた。7月18日の会見で担当弁護士が趣旨を説明した上で、消費者庁について「マンパワーがそんなにない」とするなど、現状の取り締まりの不十分さも指摘した。
●預託商法に登録制など求める
現在、預託商法においては、消費者が購入した商品の存在や運用実態の把握が困難な状況。預託商法は、特定商品預託取引法(預託法)によって規制されているが、参入規制や消費者庁による監督がない。競走用馬については金商法の規制対象となるとされているが、「解釈上の疑義がある」(日弁連)という。
代替医療機器の預託商法で社会問題化した「ジャパンライフ」(2018年3月破産開始決定)では、7000人、2400億円規模の被害が発生したが、日弁連は「現行の法制度では預託商法を効果的に抑止しえていない」とみている。また、預託法は、契約の類型別にしか行政処分ができず、ジャパンライフは、業務停止期間中も、形式的に処分が出ていない別の類型として実質的な営業を続けいたという。
日弁連が7月にまとめた意見書では、預託商法を金商法の中で規制することを求めている。具体的な改正ポイントは以下の通り。
(1)許認可制・登録制の導入と主務省庁(主に金融庁を想定)による継続的な監督
(2)契約類型によらない包括的な行政処分
(3)主務省庁への破産申立権限の付与
●「改正で第二のジャパンライフ生じない」
会見に臨んだ日弁連・消費者問題対策委員会副委員長の荒井哲朗弁護士は、ジャパンライフについて聞かれ、「今回の意見書に沿った法改正がなされていれば、被害が拡大する前に業務停止をさせられたし、破産手続きも早期にできたと考える。早期改正がなされれば、第二のジャパンライフ問題は生じないのでは」とした。
荒井弁護士は、消費者庁について「マンパワーがそこまであるわけではない」と指摘。金商法の規制対象とすることで、「金融庁や財務局は全国にあり、きめ細かく専門的見地をもって、対応できる」とした。
法改正を経ずに、金商法の解釈をもって対応できる可能性については、「解釈余地があっても、現状は預託法が規律していると考えるのが素直。(法改正で明確化すれば)金融庁は自分の所管と考えやすくなるのでは」と話した。