「合コンの会計を後日請求されました」。そんな投稿がインターネットの掲示板に書き込まれていました。
投稿者によると、合コンは計6人で行われ、お会計は1軒目、2軒目ともに男性陣が払ってくれました。しかし後日、連絡先を交換した男性から銀行の口座番号と共に、参加者6人で割った1人分の金額を請求してきたそうです。投稿者は「そんな手間のかかることをするくらいなら、最初から割り勘で支払ってほしかった」とがっかりした様子です。
このように「暗黙の了解」で男性陣に全額支払いしてもらい、合コン費用を後日請求された場合、支払う必要はあるのでしょうか。またその場で「今日は俺らが払う」などと言われた場合は「約束が違う」として、払わなくてもいいのでしょうか。尾崎博彦弁護士に聞きました。
●「特段の意思表示」があったかどうかが問題になる
全額支払いした男性は、後から合コン費用を請求できるのでしょうか。
「投稿者のお気持ちもわかりますが、男性陣もがっかりな合コンだったのでしょうか(笑)。
合コンのように複数で飲食した場合は飲食をした人たちが代金を支払うことになりますが、特段の意思表示がない場合、『各債務者に等しい割合で義務を負う』と民法は規定しております(427条)。
すなわち各自が飲食分を負担する、いわゆる『割り勘』が原則と言うことになります。そうすると男性が女性の分まで支払ったとすれば、原則としてはこれを請求(求償)できるということになりそうです」
では今回のケースでも、割り勘となるのでしょうか。
「ただ、合コンの場合、『女性陣にはおごってあげる』という意思表示があったかどうかが問題となります。会計の際に女性陣に対して『おごってあげる』と言うことを明示していた場合にはそういう意思表示があったことは明らかです」
一般的にはどういった場合だと、『おごってあげる旨の意思表示』に当たるのでしょうか。
「『おごってあげる』という明示がない場合でも、会計の際のメンバーのやり取りや、その合コンの趣旨や雰囲気あるいは男女の年齢差や人数比などから、男性陣が女性陣におごってあげる旨が黙示的に読み取れるときも同様に考えられます。
どのような場合にそのような『意思表示』が読み取れるかは判断が分かれましょう。たとえば、女性陣が会計後に『ごちそうさまでした。ありがとうございました』と言ったのに対して、特に男性陣から異議がなかったときなどもそのように考えてよいのでしょう。
特に合コンのようなカジュアルな飲み会ならば、その場で精算を求めなかった場合には『おごってあげる旨の意思表示』があったと見るべき場合が多いのではないかと個人的には思います。男性が女性に請求できないと考えられるケースが多いでしょうね」
トラブルを避けるため、お会計時の「暗黙の了解」はお互いやめたほうが良いですね。
「いずれにせよ、この長期不況の影響か、男女平等の実践なのか、男性陣の財布のひもはシビアになってきているのでしょう。今後合コンといえども、割り勘か否かを事前に確かめてから(あるいは合コンのメンバーやコンセプトなどから推測して?)参加することが必要な時代ということなのでしょうか(苦笑)」