早稲田大学は11月2日、東京都内で記者会見を開き、元理化学研究所研究員の小保方晴子さんの「博士学位」(博士号)の取り消しが確定したと発表した。その理由について、鎌田薫総長は「博士学位論文として相応しいものが提出されないまま、猶予期間が終了した」と説明した。
昨年、英科学誌「ネイチャー」に掲載された「STAP細胞」論文に不正問題が発覚して以降、小保方さんが早大に提出した博士論文についても、文章の盗用などの指摘があいついだ。早大は昨年10月、「不正の方法により学位の授与を受けた」として取り消すと発表。ただ、大学の指導にも問題があったという理由で、約1年の猶予期間を設けて、その間に博士論文が適切なものに訂正された場合は「博士学位を維持する」としていた。
鎌田総長は「一定の猶予期間に行なわれることを想定していた論文訂正と再度の論文指導について、研究倫理教育と不適切な引用などの論文訂正は終了したと認められる」としながらも、「結論に至る科学的根拠の記述あるいは記述の論理性など、先進理工学研究科による指導に応えて、なされるべき訂正作業が終了しないまま、猶予期間が満了した」と、博士号取消しの理由を語った。
●早大「小保方さん本人にダメージがいかないように配慮してきた」
早大の「博士号」取消しについて、小保方さんは「失望している」「当初から不合格を前提とした手続きであり、とても不公正なものであったと思う」「心身への状況配慮などは一切されなかった」というコメントを代理人の三木秀夫弁護士を通じて、報道陣向けに公表した。
会見に出席した橋本周司副総長は、小保方さんのコメントについて、「指導は十分にしてきた」と述べた。「小保方さんの体調に関しては、診断書も確認した。小保方さん本人にダメージがいかないように配慮してきた」と説明した。