ツバメの子育てが盛んなシーズンになった。巣で待つヒナのため、せっせとえさを運ぶ親鳥の姿には、子を思う愛情を感じる。われわれ人間も、本来ならヒナが巣立つまで暖かく見守りたいところだが、巣の場所によっては、フン害で困る場合もある。ツイッターでも「どこそこの巣が撤去された」といったつぶやきを見かける。
ただ、ネットでは「子育て中のツバメの巣を勝手に壊したら法律違反だ」といった指摘もある。そうなると、そもそも壊すことはできないということになりそうだが・・・。ツバメの巣をめぐり、何かルールがあるのだろうか? 環境省の鳥獣保護業務室の担当者に話を聞いた。
●ツバメのヒナや卵を傷つけるのはダメ
「原則として、『鳥獣を捕獲・殺傷したり、鳥類の卵を採取・損傷したりすること』は、鳥獣保護法の8条で禁止されています。ツバメは『鳥獣』に含まるので、その捕獲・殺傷や、卵の採取・損傷が禁じられています。これに違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります」
そうすると、自宅の軒先にできた巣を撤去することは、法律違反になるのだろうか?
「その中にヒナがおらず卵もない巣を壊したり、ネットを張るなどして親の巣作りを邪魔するだけなら、鳥獣保護法8条違反にはなりません。しかし、ツバメのヒナがいたり、卵がある巣を壊せば、『ヒナや卵を捕獲・殺傷又は採取・損傷』したことになり得ます。つまり、鳥獣保護法8条違反になる可能性がありますので、注意が必要です」
巣は人の手の届かないところにあるだろうから、その中に卵があるかどうかは、よく観察しないと見間違える可能性があるかもしれない。動物愛護の精神から、慎重な対応が必要だろう。
●撤去したい場合は「自治体」に相談を
一方、仮にフン害がひどく、どうしても巣を撤去しなければ困るというような場合は、どうだろうか。
「鳥獣による生活環境被害を防止する目的などが認められれば、捕獲や採取に関する許可(多くは都道府県知事または市町村長の許可)が出る場合があります。もし、どうしても、ヒナがいたり卵がある巣の撤去が必要だという場合、住んでいる自治体に連絡をとって聞いてみるのが良いでしょう」
ただ、許可を得た上であっても、巣の撤去は最後の手段だろう。ツバメの子育てはせいぜい数カ月間。ダンボール製の受け皿などでフンを防いで、暖かい気持ちで見守ることができれば、最後の一羽が巣立つころ、逆に寂しいと感じるようになっているかもしれない。