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在日米軍「NHK受信料」支払い拒否 「本当にけしからん」と沖縄選出議員が怒りの声
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在日米軍「NHK受信料」支払い拒否 「本当にけしからん」と沖縄選出議員が怒りの声

沖縄などに駐留する在日米軍が、NHKの「受信料」の支払いを拒否している。受信料は「税金」だから日米地位協定に基づいて免除されるはずだ、というのが米軍の言い分だ。

しかし日本政府やNHKは、受信料が租税だとは考えておらず、米軍に支払いを求めている。沖縄選出の照屋寛徳・衆議院議員(社民党)は「米側が地位協定上、受信料は租税であるから支払い免除されてると主張し、依然として払ってないのは本当にけしからん」と憤りを見せている。

NHKの受信料といえば、最近は、支払いを拒否している人に対して裁判を起こしてでも徴収をはかるという「強硬姿勢」を、NHKがとっている。それに比べると、在日米軍が受信料を払っていないのは不当に思える。

その点について、照屋議員は、弁護士ドットコムの取材に対して「普天間基地周辺では電波障害でテレビがよく見えんのに、その支払いを滞納してる人にNHKは執拗な督促をしたりしている。本当にけしからん」と怒りのコメントを寄せた。

●米軍との会合も開催できず

この問題をめぐって、NHKは今年2月、在日米軍と米国大使館、外務省、総務省、NHKの5者による会合の開催を文書で求めた。しかし、半年以上たった10月になっても、5者会合は開かれていないという。

そのような状況について、照屋議員は「5者会談を申し入れても未だに開催されてない、いわば無視されてる。日本側の弱腰の結果として、国民と不平等不公平に地位協定上、特権免除を米側が得ている」と、日本側の姿勢にも問題があると指摘している。

在日米軍の「NHK受信料支払い拒否」をめぐる問題では、照屋議員が10月16日に質問主意書を提出し、政府が24日、回答した。

照屋議員の質問主意書の該当部分と、政府の答弁書の該当部分は、次のとおり。

●照屋氏の質問主意書(抜粋)

「NHKの福井敬理事は、本年三月二十八日の参議院総務委員会において、社民党又市征治議員による在日米軍基地内の軍人等のNHK受信料徴収に関する質問に対し、『平成二十六年二月に文書によりまして、在日米軍、それから米国大使館、外務省、総務省、NHKの五者によります状況打開に向けた会合の開催を求めてございます。現在まだ回答は得られておりません』と答弁している。

かかる文書で求めた『状況打開に向けた会合』とは、いかなる目的、内容のものか、具体的に示されたい。また、当該文書提出から既に約八か月が経過しているが、同会合は持たれたか、開催日やその概要と併せて答えられたい。

なお、米側から現在も回答が得られていないのならば、このまま手をこまねいているつもりか。『状況打開』に向け、実効性あるさらなる方策を講じているか、政府とNHKの取り組みを具体的に示されたい。

在日米軍及び在日米大使館など米側は、受信料が日米地位協定第十三条第三項に規定する公租公課(租税)に当たると未だに主張しているのか、この間の米側との交渉経緯を明らかにしたうえで、受信料に対する同協定上の政府の見解を示されたい」

●政府答弁書の該当部分(抜粋)

「先の答弁書(平成十九年二月二十日内閣衆質一六六第四二号)一についてでお答えしたとおり、政府としては、我が国に駐留するアメリカ合衆国(以下『合衆国』という。)軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族(以下『合衆国軍隊の構成員等』という。)であって、法第六十四条第一項に規定する協会の放送を受信することのできる受信設備(以下『受信設備』という。)を設置した者は、同項及び日本放送協会放送受信規約の規定により、協会と放送受信契約を締結し、放送受信料を支払う義務があるものと考えている。一方、合衆国側は、協会の放送受信料が一種の租税であり、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第十三条の規定に基づき、合衆国軍隊の構成員等はその支払を免除されるとの見解を有していることから、政府としては、合衆国側に対して、放送受信料が租税に当たらず、放送受信契約を締結して放送受信料を支払う義務があることを説明する等してきているが、合衆国側は、その見解を変えるには至っていないと承知している。

お尋ねの『状況打開に向けた会合』については、協会からは、合衆国側に対して、先に述べた我が国の立場を説明して理解を得ることを目的とするものであると聞いている。

また、当該会合については、協会が御指摘の文書を発出した平成二十六年二月二十六日以降、同年十月二十二日現在で、まだ開催されていない。協会からは、引き続き合衆国側に対し、当該会合の開催を求めていくと聞いており、政府としても、引き続き協会と連携しつつ、合衆国側に対し、放送受信契約等に関する我が国の立場の説明に努めてまいりたい」

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