いよいよ発売日が迫ってきた「iPhone6」と「iPhone6 Plus」。大画面化でどう変わるのか、新機能は使い勝手がいいのか――。熱狂的なアップル製品のユーザーたちは、一刻も早く端末を手に入れたくて仕方ないだろう。
新型iPhoneの発売をめぐっては、毎回、東京・銀座のアップルストアなどの前に、徹夜で並ぶ人たちが現れ、もはや「恒例行事」になっている。今回も9月10日2時(日本時間)にアップルが新商品発表会を開く前から、銀座のアップルストア前に列ができたことがネットで話題になった。
今年の発売日は9月19日。3日前の16日午前の状況を現地で確認したところ、25人分のいすが店の前に並んでいた。10人が実際に座っていたが、残り15人は不在で、いすだけが置かれていた。
このような「iPhone行列」。道路を歩く通行人の立場からすると、邪魔になると思う人もいるかもしれない。iPhone購入のために、何日も路上を占拠することは、法的に問題ないのだろうか。村上英樹弁護士に聞いた。
●交通の妨害になるのなら、道交法違反に
「道路交通法76条4項1号では、『道路において、交通の妨害になるような方法で寝そべり、すわり、しゃがみ、又は立ちどまっていること』は禁止されています。違反する場合には、5万円以下の罰金という罰則も定められています(同法120条1項9号)」
村上弁護士はこう説明する。iPhoneを求める徹夜行列は、道交法に触れてしまうのだろうか。
「行列を作っただけで法律違反になるわけではありませんが、発売待ちのために、道路上で、交通の妨害になるような方法で、パイプ椅子に腰掛けたり、寝そべったりすることは、この禁止事項にあたると考えられます。
ただ、道路上でイベントなどを行いたい場合に、主催者が警察に道路使用許可を申請して許可を受けたときは、交通に影響を及ぼすような使用方法であっても、法的に可能になることがあります。
もし販売店舗が発売日などに行列が予想される場合に警察に許可を取っていれば、許可の範囲内の行動については認められます」
●「交通の妨害にならないように気をつけてほしい」
もし、許可がない場合はどうなるのだろうか。
「警察の許可がないのに、発売待ちのために、道路上に交通の妨害になる方法で座ったり寝そべったりすれば、道路交通法違反となります。
実際に、発売日や前日などに道路交通法違反を理由に警察が取り締まるかどうかは分かりませんが、客としては、やむを得ず道路上の行列に並ぶ場合でも、交通の妨害にならないように気をつけていただきたいと思います」
村上弁護士はこう締めくくった。
今回、弁護士ドットコムがアップルの広報に取材したところ、「アップルストアの前に並んでいる人たちは弊社と直接関係があるわけではないので、道路の使用許可の申請はしていない。ただ、銀座店の場合、毎回築地署に相談して、当日も交通整理に来ていただいている」とのことだった。また、今年からはオンライン予約を開始したため、途中で並ぶのをやめた人もいるという。
アップルストア銀座店の場合、道端の広い歩道の端に行列ができていることもあって、今のところ特に大きな問題は起きていないようだ。ただ、トラブルを起こさずにいち早く端末をゲットするためには、きちんとマナーを守ることが大切になるだろう。