「お弁当を作らずメロンパンをポンと持たせている」「先生にいわゆるチクリをしてる」。こんな噂を、子どもの同級生の母親である「ママ友」に流されたことがあると、女優の江角マキコさんが告白した。
江角さんのブログに7月下旬に投稿された記事によると、江角さんの噂を話すためのお茶会やランチ会も開かれたそうだ。子どもと一緒にいるときに露骨に無視されたり、嫌味を言われたりしたこともあったという。江角さんは「静かに耐えていると助けてくれる人ができ、人付き合いがシンプルになりました」と当時を振り返っている。
しかし、週刊誌「女性セブン」には、ママ友からの抗議文が掲載された。「彼女が数々の同級生へしてきたことがバレたために、彼女からみんなが距離を取ったというのが事実です。つまり、いじめがあったとするならば、それはむしろ彼女自身がされていたことであり、彼女は被害者というよりも加害者ではないか、と考えます」と主張している。
江角さんとママ友の主張は真っ向から対立しているが、ママ友たちの間でなんらかのトラブルがあったのは事実のようだ。一般論として、子育て中の女性が「ママ友いじめ」に遭った場合、どう対処すればいいのだろうか。ひどい噂を流されたり、暴言を吐かれたりしたときは、法的対応をとることも可能なのだろうか。『ママ弁護士の子どもを守る相談室』という著書がある浮田美穂弁護士に聞いた。
●「ママ友の輪に入らなくても、十分に子育てできる」
「気の合う『ママ友』は、相談にのってくれたり、困ったときに助けてくれたりと頼れる存在で、子育てにもプラスになりますね。
ですが、無視したり、嫌みを言ってくる人なら、わざわざ付き合わなくてもいいと思います。ママ友の輪に入らなくても、十分に子育てをしていけます」
では、誰にも相談できない場合は、どうすればいいのだろうか。
「子育てについて、周りに相談する人がいなくても、子育ての悩み相談や子育てサポート事業などを行っている市町村や法人の機関があります。
『ママ友を作らなくちゃ』と力まないで、困ったときはそのような機関を利用するといいでしょう」
では、度が過ぎたいじめの場合は、法的対応も可能なのだろうか。
「あまりにひどい噂を流されたり、LINEやメール、インターネット上で誹謗中傷されたような場合には、名誉毀損で損害賠償請求(民法709条)をすることが可能です。
名誉毀損罪(刑法230条)に該当することもあるでしょう。
暴言も、ひどい場合には損害賠償請求(民法709条)をすることができますし、公然と侮辱するようなことを言われた場合には、侮辱罪(刑法231条)に該当します」
ひどいケースでは、法的措置も可能なようだ。江角さんの騒動では「ママ友」の人間関係をめぐる難しさが改めて浮き彫りになったが、トラブルの兆候があった場合には、早めの相談を心がけたほうがよさそうだ。