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「弁護士の数はどれくらいがいいのか」 法曹人口を考えるシンポジウム開催

「弁護士の数はどれくらいがいいのか」 法曹人口を考えるシンポジウム開催

司法制度改革の名のもと、弁護士や裁判官の登竜門である司法試験の合格者は以前よりも大きく増えた。法律サービスを利用する側の国民からすれば、弁護士など法曹の人数が増えることは歓迎すべきことだが、一方で、難関の司法試験に合格しても法律事務所に就職できない人がいるなどの問題が指摘されている。

たとえば、2012年12月に司法修習を終えた新人は2080人いるが、1月10日までに弁護士登録をしておらず、裁判官や検察官にもなっていない人は363人にのぼっている。この人たちの多くは、法律事務所に就職できなかったのだと考えられる。このような「新人弁護士の就職氷河期」を受け、日本弁護士連合会は2013年2月12日、法曹人口の適切なバランスについて考えるシンポジウムを開催することにした。

シンポジウムでは、日弁連の法曹養成制度改革実現本部委員をつとめる木村裕二弁護士が「なぜ日弁連は司法試験合格者数の削減(1500名)を提言したのか~弁護士急増による弊害について」と題して講演。その後、弁護士や新聞記者、消費団体の代表が登壇して、「現在の急増ペースが今後も必要か」をテーマにパネルディスカッションを行う。

●2000年から2012年にかけて、弁護士の数はほぼ倍増

社会の多様な法的ニーズに応えるべく、司法制度改革では「法曹人口の拡大」が目標に掲げられた。その一貫として、2004年に法科大学院(ロースクール)が開校、06年には新司法試験が始まった。合格者の数は毎年増加していき、昨年度(2012年度)は過去最多の2102人が合格。それに伴い、弁護士の人数も増加し、2000年に1万7000人だったのが12年には3万2000人と、倍近くに増えている。

このような状況を背景に、弁護士の間での競争激化や若手弁護士の就職難なども起きているとされる。日弁連が「現行の司法試験合格者数を2000人から1500人にペースダウンするべきである」と提言するほどだが、一方で、「いろんな分野で弁護士が活躍することは、社会にとっても必要なこと」(弁護士出身の丸山和也参院議員)と弁護士増加を肯定する意見もある。

はたして、日本の社会にとってベストな法曹人口とはどれくらいなのだろうか。司法試験合格者の人数はどうあるべきなのか。法科大学院の開校からまもなく10年になろうとしている今、立ち止まって考える時期にきているといえるだろう。

シンポジウムは2月12日午後6時から、東京・霞ヶ関の弁護士会館で開かれる。参加無料で、事前の申し込みも不要。問い合わせ先は、日本弁護士連合会法制部法制第一課(03-3580-9983)。

(弁護士ドットコムニュース)

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