アマゾン配達員が加入する労働組合が、アマゾンジャパンとの団体交渉を求めて1月26日、東京都労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。配達員がアマゾン本体を相手に救済申立てをするのは初とみられる。
労働組合法では、使用者が正当な理由なく、組合からの団交申し入れを拒むことを禁じている。
しかし、団交を求めている配達員は、(1)アマゾンと直接業務委託契約を結ぶ「フレックス配達員」と(2)DSP(デリバリー・サービス・プロバイダー)と呼ばれるアマゾンの下請け運送会社と業務委託契約を結ぶ「DSP配達員」で、いずれも雇用契約ではない。
同日の記者会見で組合側の代理人弁護士は、配達員の労働組合法上の労働者性と、DSP配達員については直接の契約関係にないアマゾンの使用者性が争点になると述べた。
●配達員「現状は、まさにアマゾン働き損」
救済を申し立てた労働組合は「労働組合東京ユニオン」。組合はこれまで労働条件の改善などを求めて団交を複数回求めてきたが、アマゾンは「労働組合法上の使用者にあたらない」などとして、いずれも応じていないという。
直近では2023年12月におこなった団交申し入れに対し、今年1月に応じられないとする回答書が届いており、このことを直接的な理由として、不当労働行為の救済を申し立てた。
記者会見には組合員も出席。アマゾンアプリを介して配送コースや荷物量を指示されていることについて、40代の男性配達員は「AIに支配された荷量が一番つらい。朝にならないとわからないし、押し付けられた仕事を特に悪天候の中でこなしていくのは精神的につらい」と語った。
50代の女性配達員は、昨年末のブラックフライデーセール以降も荷量が多く、休憩がとれないと発言。日給も変わらないとして、「現状は、まさにアマゾン働き損」と訴えた。