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「限りなく現実に近いミステリーを」 弁護士だからこそ書ける児童文学を出版・村松由紀子さんインタビュー
出版された著書(左)と村松由紀子弁護士(右)=村松さん提供

「限りなく現実に近いミステリーを」 弁護士だからこそ書ける児童文学を出版・村松由紀子さんインタビュー

弁護士ドットコムニュースの解説でもおなじみの村松由紀子弁護士が2022年秋、児童文学作家デビューした。小学生2人と犬1匹が難事件を解決していくミステリーだ。

名古屋市を拠点に、企業法務を手がける村松さん。娘ともども読書好きが高じて、出版されている児童文学、特に推理小説をほぼ読み切ってしまった。「法律などがもっと身近に感じられる現実に近い推理小説が欲しい。ないなら自分で書こう」と数日で書き上げた。

娘の後押しで複数の出版社に持ち込んだところ、絵本や児童書を発刊して50年以上の老舗・文研出版でシリーズ化が決定。全国約30カ所の都道府県立図書館に蔵書された。「犯人を見つけるだけが目的ではなく、緻密に証拠を積み上げていく過程も大事にしています。自白して終わり、じゃダメなんです」。弁護士ならではの“リアル感”が売りとなっている。

●家族2人の後押しで作家デビュー

「二人と一匹の本格捜査ミステリー」の第1作目「消えたボウリングボールの行方」は、小学5年生のリョウタとナナ、愛犬ジュンが、ボウリング場で起きたボール盗難事件の犯人を見つけ出す物語。

当時小学4年生だった長女、夫である飯田稔弁護士の家族3人で協力して作り上げた。飯田さんはボウリングが趣味で、司法試験合格前に一度ボウリング場に就職しており、パーフェクトを出したことがあるほどの腕前。事件の舞台もリアル感が必要だと、内情を知っている夫の協力を得た。

文字通り「最初の読者」として重要なアドバイザーとなったのは長女だった。出版社への売り込みに際して、自信が出ずに送付をためらっていたところ、「どうしてそんな弱気なの?絶対大丈夫!」と背中を押されたという。

リョウタやナナの風貌についても、長女がインターネットで引いてきた画像などでイメージを共有した。子どもが面白がってくれるように、子どもが主役だけれど、ファンタジーになりすぎないバランスを重視した。

●モデルには複数の実在弁護士

第2弾は大学の研究室が舞台で、3月に出版される予定。現在は第3弾を執筆中だ。企業法務を手がける村松さんにとって、トラブル解決などの本業と比べ、「好きに書いていける時間は楽しくてリフレッシュになる」という。

弁護士だからこそ緻密さには注意を払う。巻末には法律用語の、簡単な解説もつけた。警察や検察の捜査に関して、修習時代の考え方が生きることもある。登場人物の山田弁護士は村松さんの尊敬する先生たち複数人がモデルになっているという。

小説家の弁護士はそれなりにいるけれど、児童文学作家は珍しいといわれる。「児童書は普遍的な題材が長く読まれる。このシリーズも読み継がれることを願っています」

9月24日には名古屋市で日本プロボウリング協会承認イベント「消えたボウリングボールの行方杯」が行われる。 また、9月30日必着で読書感想文も募集している(ボウリングイベントに持参してもよい)。すべて村松さんが目を通し、入賞者には図書カードが贈られる。詳細は絵本ナビ

プロフィール

村松 由紀子
村松 由紀子(むらまつ ゆきこ)弁護士 弁護士法人クローバー
弁護士法人クローバーの代表弁護士。同法人には、弁護士4名が在籍する他、社会保険労務士4名、行政書士1名が所属。企業法務を得意とする。その他、交通事故をはじめとする事故、相続等の個人の問題を幅広く扱う。

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