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国による裁判手続「盗聴」問題、別の3人も発覚 最初に指摘した笠置弁護士「教育徹底して」
防衛省(よねやん / PIXTA)

国による裁判手続「盗聴」問題、別の3人も発覚 最初に指摘した笠置弁護士「教育徹底して」

国の指定代理人だった防衛省の職員が裁判のやりとりを無断録音していた問題で、防衛省は12月23日、この職員が計4事件21期日で録音をしていたことを公表した。

調査結果によると、他の職員3人にも無断録音があったことも分かったという。うち1人については上司からの指示の可能性がある。

問題が起きたのは、米海軍横須賀基地の従業員だった50代の女性が起こした労働裁判。10月11日、横浜地方裁判所横須賀支部であった非公開の弁論準備手続期日で、女性側代理人の笠置裕亮弁護士が、国側の指定代理人が無断で録音をしているのを発見した。録音機は、裁判所と原告の個別聴取時にも作動していた。

●上司の録音指示はあったのか?

問題を受け、防衛省は関係者を中心に約50人に聴取などをおこなったという。

防衛省によると、録音をしていたのは南関東防衛局の職員。「正確な記録を作成するため自らの判断で録音しており、和解に係るやりとりを秘密裏に録音する意図はなかった」としている。

2021年7月〜2022年10月までに、この事件も含めて計4事件21期日で録音をしていたという。

このほか、同じ南関東防衛局の別の職員2人についても録音が分かったという。

一方は2015年10月から2016年2月に2事件の5期日。もう一方は、2021年1〜3月に1事件の2期日を録音した。後者について、当該職員は上司の指示だったとしているが、上司は期日前後の打ち合わせの録音するように指導したものだと説明し、一致を見ていないという。

さらに南関東防衛局以外に、防衛相で国の指定代理人に指定されているすべての職員を調査したところ、情報本部の職員1人が、2022年4月に1事件の1期日を録音していたことが分かったという。

●笠置弁護士「猛省してほしい」

防衛省は録音した職員について、判明した事実関係に基づき、厳正に対処するとしている。

調査結果を受け、笠置弁護士は次のようにコメントした。

「指定代理人として指定されている法曹資格を有しない職員は、防衛省を含め各省に存在するが、その者らに対する民事訴訟手続きに関する教育が全く不十分だということが明らかになった。

防衛省含め、各省におかれては猛省していただき、このような事態が2度と生じないよう教育を徹底していただきたい。省庁の垣根を超えて、訟務部もきちんと指定代理人に対する教育を行うべきだ」

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