神奈川県警の留置施設に勾留されていた男性が、弁護士とやりとりする「被疑者ノート」に書いた記述を警察官に黒塗りさせられたのは、違法だとして、男性の国選弁護人だった弁護士が、県を相手取り、損害賠償350万円をもとめる訴訟を起こしている。
その第1回口頭弁論が9月3日、横浜地裁であった。原告側は「捜査機関に被疑者ノートの内容を確認されたり、消すよう指示されるようでは、弁護人として被疑者の権利を十分に守ることはできない」などと意見陳述した。一方、県側は請求棄却をもとめた。
●原告弁護団には弁護士55人が参加
訴状などによると、原告の弁護士は今年5月中旬、自転車を盗んだ疑いで逮捕・勾留された20代男性の国選弁護人に選任された。
二度目の接見で、取り調べの様子をメモする「被疑者ノート」を差し入れた。ところが、警察官が5月下旬、男性に指示して、記述の一部を黒塗りさせたという。
そのため、弁護士は6月下旬、弁護人としての「接見交通権」と「秘密交通権」を侵害されたとして、国家賠償法にもとづく損害賠償をもとめて提訴していた。
原告の弁護団によると、この訴訟には、55人の弁護士が原告代理人として参加しており、この日の法廷には、16人の弁護士が詰めかけた。