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2020年03月21日 09時44分

県議の質疑「8割コピペ」で物議 政治では禁忌、質問にも権利?

県議の質疑「8割コピペ」で物議 政治では禁忌、質問にも権利?
鹿児島県庁(ふくいのりすけ / PIXTA)

他人の質問をコピペしてしまった鹿児島県議が話題になっている。3月2日にあった県議会で盗用を認め、謝罪したそうだ。

報道によると、この県議が2019年9月の定例会で質問した約20項目のうち、7項目は埼玉県議4人の質問とほぼ同一。鹿児島用に微修正していたそうで、文字数でみると約8割が一致したという。

質問は議員の腕の見せどころとされるから、ズルがバレれば、批判されるのは当然だろう。一方、ネットでは「良い問いはむしろ再利用すべき」との声も。

他人の質問は流用できないのだろうか。質問は法的にどういう位置づけになるか、桑野雄一郎弁護士に聞いた。

●政治上の演説は著作権が制限されるが…

ーー議会に限らず、「質問」は著作物と言えるのでしょうか?

口頭や書面での質問も、ある程度の長さとまとまった内容があれば創作性のある著作物と認められます。

今回盗用された埼玉県議の質問も、質問の前提としてその議員の問題意識なども述べられていますので、問題なく著作物と認められるだろうと思います。

ーーでは、著作権法上の問題はないのでしょうか?

著作権法40条1項は「公開して行われた政治上の演説又は陳述」は原則として自由に利用できると定めています。

この「演説又は陳述」は政治の方向に影響を与えるための政治的主張を述べたもので、選挙の時の街頭演説などが典型例です。

このようなものはできるだけ広く国民に伝えるべきだという考えから著作権が制限されているわけです。

ーー質問も「演説」と言えますか?

議会における質疑がこれに含まれるかは見解が分かれていて、裁判例もありません。

ただ、今回問題となった質問には、その前提として議員が考える県が取り組むべき施策の方向性なども明確に述べられていますので、「公開して行われた政治上の演説又は陳述」に含まれると考えてよいのではないかと思います。

●著作者人格権の問題は残る

ーー今回のような利用をしても法律上は問題ないということですか?

著作権法40条1項が適用されるとするとコピペをしても著作権侵害にはならないということになりますが、著作者人格権の問題は残ります。

コピペして使うならその質問をした議員の名前を表示しないと氏名表示権侵害になるでしょう。また、今回は完全なコピペではなく細かな訂正を加えていますので、同一性保持権侵害にもなるでしょう。

このように、コピペをするなら元の質問をした議員の氏名を表示した上で、修正も加えずそのまま利用することが必要です。

ーーやはり、質問はオリジナルでということですね

議員が質問を起案する際に、同じ問題を抱えている他の自治体での質疑を参考にすること自体には何の問題もありません。

ですから、他の議員の質問を参考にするなら、コピペはせず、自分なりの言葉で、自分のいる自治体固有の問題点を盛り込みながら質問を起案することが考えられます。今回問題となった議員の方も、本来こちらの方法をとるべきだったと思います。

取材協力弁護士

桑野 雄一郎(くわの・ゆういちろう)弁護士
高樹町法律事務所。「外国著作権法令集(46)-ロシア編―」(翻訳)、「出版・マンガビジネスの著作権(第2版)」(以上CRIC)、「私的違法ダウンロードに関する改正法案の問題点(上)/(下)」特許ニュース14934号・14935号等。

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