裁判所に行ったことがありますか――。内閣府が1月下旬に発表した「基本的法制度に対する世論調査」によると、「裁判所を見学したり、裁判の傍聴をしたりしたことがある」と答えた人は、回答者の13.4%だった。逆にいうと、裁判所を見学・傍聴した経験が一度もない人が、86.6%もいることがわかった。
調査は昨年11月、日本全国に住む20歳以上の国民を対象に実施し、1826人から回答を得た。同様の調査は5年ごとに行われているが、「裁判所の見学・傍聴の経験あり」とした人の割合は、1994年から2009年にかけて、15.7%→14.6%→13.4%→12.9%と、徐々に減っていた。
しかし、今回はやや増加し、前回よりも0.5ポイント多かった。2009年に裁判員制度が始まったことが、少し影響しているのかもしれない。
●「経験あり」の割合は年代別で大きく異なる
また、今回の調査で「経験あり」と回答した人の比率は、年代別で大きく異なっている。20代5.5%、30代11.2%、40代16%、50代8.9%、60代13.8、70代18%だった。男女別では、男性16.5%、女性10.8%と、男性のほうが女性の1.5倍だった。
地域別でみると、「経験あり」と答えたのは、東京都23区が23.5%と飛び抜けて高い。次いで、その他の大都市圏が16.1%、政令指定都市の13.9%と続き、町村部は9.7%だった。地方裁判所は各都道府県に1か所は設置されており(北海道は4か所)、さらに支部もあるが、都市部ほど「経験あり」が多いといえる。
●「裁判を傍聴するのは、実は簡単」
調査結果について、司法試験予備校「辰巳法律研究所」の人気講師でもある西口竜司弁護士は次のように話していた。
「日本はアメリカのような『訴訟社会』ではありませんから、裁判は『縁遠いものだ』と感じている人が多いのかもしれません。そもそも裁判所という場所に行くこと自体、ハードルが高いと感じる人が少なくないのではないでしょうか。
しかし、一般の人が裁判を傍聴するのは、実は簡単です。事前に何か手続きが必要なわけではありません。どんな裁判が行われているのかも、裁判所で確認できます。
いまは裁判員制度がありますので、自分が裁判に参加することになる可能性は、誰にでもあると言えます。もしそうなったときに慌てないためにも、一回傍聴に行ってみるのもいいかもしれません」