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性犯罪の刑法改正求め、4万5千人の署名提出 当事者団体「誰が見てもこの実態はおかしい」
会見した山本潤さん(左から2番目)ら(2019年6月24日、弁護士ドットコム撮影、東京・霞が関の司法記者クラブ)

性犯罪の刑法改正求め、4万5千人の署名提出 当事者団体「誰が見てもこの実態はおかしい」

性犯罪に関する刑法改正を求め、性被害の当事者団体などが6月24日、4万5875人分のインターネット署名を法務省に提出した。

署名を提出したのは、性暴力被害者らで作る一般社団法人「Spring」、国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」、雑誌「週刊SPA!」への抗議署名をきっかけに立ち上がった学生らでつくる団体「Voice up Japan」。

提出後、3団体の代表者が東京・霞が関の司法記者クラブで会見した。

「Spring」代表理事の山本潤さんは「インターネット署名サイト『change.org』で3万を超える署名は年に数回だと聞いた。誰が見ても、この実態はおかしいと感じているからではないか」と語った。

●「相手からの不同意のみを要件に」

性犯罪をめぐる刑法の規定は2017年、110年ぶりに大幅に改正された。その際の附則で、施行後3年をめどに、必要がある場合には実態に即して見直しをすることが盛り込まれた。

「3年後見直し」が来年に迫る中、署名では以下の要件を盛り込んだ新たな改正案を2020年の国会に提出することを求めた。

・強制性交等罪における暴行脅迫、心身喪失、抗拒不能の要件を撤廃し、相手からの「不同意」のみを要件として性犯罪が成立するよう刑法を改正する
・監護者性交等罪の適用範囲を18歳以上に拡大し、処罰を重くする
・親族、指導的立場にある者(教師・施設職員等)や上司など地位や関係性を利用した性行為に対する処罰類型を設ける
・性交同意年齢を引き上げ、抜本的に見直す

●署名数「世論のあらわれ」と法務省担当者

法務省刑事局との意見交換では、法制審議会に若い世代や性被害経験のある人、女性を多く含めることを要請。性犯罪の不起訴事例やその理由、捜査機関に相談しても門前払いになった事例について調査を求めた。

担当者は署名数について「世論のあらわれとして大きなものだと重く受け止めている」とコメント。法制審議会などの開催については「未定」と言われたという。山本潤さんは「刑事局に署名を届け、意見交換ができたことは、大きな意義があった」と振り返った。

「Voice Up Japan」の山本和奈さんは「性暴力や性犯罪は、若い世代が一番経験すること。意思決定の場にいる人にユースの声を届けなきゃいけない」と訴えた。

不同意の性行為を処罰対象にすると提言したことについて、ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子弁護士は「『無罪推定原則に反する』『処罰対象の拡大』といった声があるが、冤罪防止と性暴力処罰の課題は両立しないわけではないと考えている。被害者保護を進めるために、冤罪が増えるのは仕方がないという考えには立つべきではない」とコメント。

暴行や脅迫を要件とせず、当事者の同意がない性交を処罰対象にしている国の運用などについて、現在、研究者などに調査中だという。

伊藤弁護士は「これだけ市民の声が高まっているにも関わらず、何も実現できないのは、あってはならない。諸外国では抗拒不能をより明確に具体的な要件にしている。日本ではどのような法律が現実的なのか、調査を踏まえて新たに政策提言をして行きたい」と話した。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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