台湾で問題になった「コスプレ婦警」 警官の「制服」を勝手に着たら軽犯罪法違反!?
警察官の制服を一般人が着ることを禁止する法律は、日本にもあるのだろうか?

台湾で問題になった「コスプレ婦警」 警官の「制服」を勝手に着たら軽犯罪法違反!?

台湾企業が公開した飲酒運転防止のためのPR動画で、登場するモデルが着ている制服が実際の警察のものとそっくりだと指摘され、騒動になっている。

国内外のメディアが9月下旬に報じた内容によると、この動画は台湾のエンターテインメント企業が制作。停車中の自動車ドライバーに、美人モデルの扮する「婦人警官」がハイヒールにミニスカートという出で立ちでアルコール検査をしていく、という内容だ。

ネット上では「素晴らしいアイデア」と好意的に受け止められたようだが、台湾の警察当局は、モデルが着用している制服が「本物のように見える」と問題視しているようだ。台湾では、公務員の服装や身分を公然と無断使用すると、罰金刑になるのだという。

たしかに、警察官と一般人の区別が付かないと、問題となるケースは多々あるだろう。警察官の制服を一般人が着ることを禁止する法律は、日本にもあるのだろうか。元検事で刑事事件にくわしい岡田功弁護士に聞いた。

●無資格者が警察の制服を着たら「標章等窃用」の罪?

「日本国内において、警察官でない者が警察官の制服を着ると、軽犯罪法1条15号後段の『標章等窃用』の罪に該当する場合があります。

この罪は、『資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服もしくはこれに似せて作った物を用いた者について、拘留(刑務所等の刑事施設に1日以上30日未満拘置されること)又は科料(1000円以上1万円未満のお金を国に納めること)に処する』という内容です」

どうやら、日本でも警察官以外がその制服を着るのは法律違反らしい。《標章等窃用》とは、いかめしいネーミングだが、ようは特定の制服や勲章などを無資格で付けるとダメ、ということのようだ。

岡田弁護士は続ける。

「警察官の制服は、『法令により定められた制服』(警察法70条)にあたります。また、一般人が間違って『警察官の制服だ』と誤信する程度に似ている服は、『これに似せて作った物』にあたります。

警察官以外の人がこういった服を着用することは、『資格がないのに』『用いた』ことになりますので、この罪に該当する場合があるということです」

なぜそんな決まりがあるのだろうか。

「日本では『警察官の制服を着ている人は警察官だ』と簡単に信用してしまう人が大半でしょう。警察官以外の者が警察官の制服を着ることは、基本的にないからです。

軽犯罪法がこれを処罰の対象としているのは、こうした『警察官の制服に対する一般人からの信用・信頼』を保護することが目的です」

●警察官の制服を着ても問題ない場合とは?

では、警察官の制服を着たら、常に軽犯罪法違反になってしまうのか。

「必ずしも、そうではありません。警察官以外の人が、警察官の制服もしくはこれに似た服を着用しても、一般人の信用・信頼が損なわれるおそれがない場合……つまり、その服を着た者が警察官でないことが容易に分かる場合には、この軽犯罪法には該当しないことになります。

なお、現在日本には、警察官の制服を所持していること自体を処罰する法令はありません」

具体的には、どういうケースだろうか?

「たとえば、自宅の自室内という、公衆の目に触れる可能性がない場所で着用する場合は、問題ありません。

また、公衆の目に触れる場所であっても、映画・テレビドラマの撮影時に、警察官役を演じる役者が着用する場合などがあげられます。ただし、これは撮影用のカメラ等の機材が配置されていたり、制作スタッフが大勢いたりするなどして、一見して『撮影現場』だと分かることが前提の話です」

確かに大勢のスタッフがわいわいと撮影していれば、通りがかった人が誤解することはほとんどないだろう。そのような撮影について、岡田弁護士は次のようにアドバイスしている。

「警察官の制服を着用して映画やテレビの撮影をする際に、あらかじめ着用について警察署等の許可を得たり、届出をする法令上の義務はありません。ただし、誤解を避けるため、そうした際には、撮影場所を管轄する警察署に撮影スケジュール等を事前に伝えておくことをお勧めします」

(弁護士ドットコムニュース)

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取材協力弁護士

岡田 功(おかだ いさお)弁護士 小室・岡田法律事務所

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