最高裁で、裁判をやり直すかどうかが審理されている「松橋(まつばせ)事件」で、無実を訴えている熊本県の宮田浩喜さん(84)の弁護団と支援者らが4月27日、最高裁に早期の判断を求める要請書を提出した。
松橋事件は、1985年に同県宇城市(旧松橋町)で男性(当時59歳)が刺殺された事件。宮田さんは、自白を根拠に殺人などの罪に問われ、懲役13年の有罪判決を受けて服役した。
宮田さん側は2012年に再審を請求。新証拠として、凶器とされたナイフと被害者の傷口の形が違うという鑑定書を提出した。また、検察側の証拠開示で、宮田さんが凶器に巻きつけ、刺した後に燃やしたと述べていた布切れが、血のついていない状態で見つかった。
福岡高裁は2017年11月、自白の信頼性が揺らぐとして、2016年6月の熊本地裁に続き、再審開始を認める決定を出したが、検察が不服を申し立てた(特別抗告)。
●体調思わしくない宮田さん、弁護団「検察が反論しないなら早く決めて」
宮田さん側によると、最高裁では宮田さん側が出した意見書に対し、検察からの反論がなく、反論の予定も示されていないという。要請書では「決定を出すに熟した」として、5月末ごろまでの決定を求めてる。
宮田さんは認知症を患っており、体調も思わしくないそうだ。2017年9月には、再審請求人の1人だった長男も亡くなっており、万一宮田さんが亡くなると、再審への道は振り出しに戻ってしまう。
要請書提出のため、熊本から上京した三角恒弁護士は、「一日も早い再審無罪を勝ち取って、宮田さんに無罪を報告したい」と語った。