弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. 犯罪・刑事事件
  3. 「金持ちが最後にたどり着く遊び」バカラ賭博が「摘発される理由」弁護士が解説
「金持ちが最後にたどり着く遊び」バカラ賭博が「摘発される理由」弁護士が解説
カジノは、一攫千金を夢見る人たちでいつもにぎわっている

「金持ちが最後にたどり着く遊び」バカラ賭博が「摘発される理由」弁護士が解説

客に「バカラ賭博」をさせたとして、賭博場の経営者と従業員15人が2月上旬、賭博開帳図利の疑いで福岡県警に逮捕された。また、客3人も賭博をした疑いで、現行犯逮捕された。

報道によると、賭博場の経営者たちは昨年12月から今年1月にかけて、福岡市博多区の雑居ビルで、客にトランプを使ったバカラ賭博をさせ、手数料を受け取った疑いがもたれている。

バカラ賭博が摘発されるケースは、たまにニュースで耳にする。だが、ポーカーのように、誰でも知っているゲームとは言いがたい。バカラ賭博とは、いったいどんなギャンブルなのだろうか。賭博罪にくわしい津田岳宏弁護士に聞いた。

●単純であるがゆえにエキサイティング

「バカラ賭博は、トランプを胴元側(バンカー)と客側(プレイヤー)の二手に配って、どちらが勝つかを当てるギャンブルです。点数が9に近いほうが勝ちとなり、その勝つ側を当てれば、客の勝利となります。

要するに、勝つ確率が2分の1。丁半博打と同じで、きわめて単純なゲームです。その単純さゆえに、最もエキサイティングなギャンブルであり、『金持ちが最後にたどり着く遊び』と言われています。

また、世界中の金持ちから愛されており、北朝鮮の最高指導者だった故・金正日氏も愛好していたといわれています」

津田弁護士はこのように説明する。どうやら、ギャンブル好きにはたまらないゲームのようだ。

「ただし、そのエキサイティングさえゆえに、大王製紙元会長の井川意高氏のように、大きな傷を負う人もいます(井川氏がカジノでハマッたのはバカラです)。

『バカラ』という言葉は、イタリア語で『ゼロ』を意味し、転じて『破産』の意味でも使われる言葉です。バカラは、その危険性を十分理解した上で遊ぶべきゲームです」

●「違法カジノ」の大半がバカラ賭博に特化

今回のケースにように、バカラ賭博を開いたら、どんな罪に問われるのだろうか。

「日本には、バカラ賭博を合法とする法律はなく、バカラ賭博を開くと、賭博開帳図利罪で処罰されます。罰則は、3カ月以上5年以下の懲役です」

罰則があるにもかかわらず、バカラ賭博で摘発されるケースは後を絶たない。どんな背景があるのだろうか。

「現在、日本にある『違法カジノ』は、そのほとんどがバカラ賭博に特化しているといわれています。

というのも、バカラ賭博には、勝負が早いという特徴があります。また、倍プッシュ(次の賭け金を2倍にして勝負すること)などが容易で、客がアツくなりやすい。つまり、違法カジノ店にとって、バカラ賭博は売上が上がりやすいのです。

バカラ賭博をおこなう違法カジノは利益を上げやすく、暴力団の資金源になりやすいので、警察は厳しくマークします」

このように説明したうえで、津田弁護士は次のように「違法カジノ」をなくす方法を提案していた。

「個人的には、違法カジノが暴力団の資金源になることを防ぐ観点からも、厳格な規制下で、合法的なカジノを日本につくるべきだと考えています。カジノを合法化したイギリスでは、100以上あった違法カジノがすべて姿を消しました。日本もそうなるべきです」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

津田 岳宏
津田 岳宏(つだ たかひろ)弁護士 京都グリーン法律事務所
京都弁護士会。京都大学経済学部卒業。著書に「カラマーゾフを殺したのは誰か?世界の名作でリーガルマインドを学ぶ」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)「弁護士には聞きにくいー知って助かる!法律相談」(青春出版社)、「賭けマージャンはいくらから捕まるのか」(遊タイム出版)など 賭博法改正を願う弁護士津田岳宏のブログ  http://tsuda-moni.cocolog-nifty.com/

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では正社員スタッフ・協力ライター・動画編集スタッフと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

正社員スタッフ・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする