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中指を突き立てる「ファックサイン」、侮辱罪に問われる?
画像はイメージです(弁護士ドットコム撮影)

中指を突き立てる「ファックサイン」、侮辱罪に問われる?

相手に向かって、中指を突き立てるジェスチャーは、「ファックサイン」と呼ばれている。日常生活で、頻ぱんに目撃することはないが、映画やアニメ、マンガの作中で見たことがあるという人は少なくないだろう。

このジェスチャーは、「くたばれ」「クソくらえ」といった意味合いがあり、海外には、最大限の侮蔑を意味するとされている国もあるようだ。国内でも、相手から中指を突き立てられて、不快な気持ちになる人はいるかもしれない。

刑事事件にくわしい大山滋郎弁護士によると、アメリカでは、警察官に対して中指を立てる行為をめぐって、犯罪になるのかどうか、争われた事例があるという。それでは、国内の法律上はどうだろうか。大山弁護士が解説する。

●理屈上は「侮辱罪」となる可能性があるが・・・

「日本の刑法で、侮辱罪は、『事実を示すことなく』、『公然と』、『他人を侮辱した』場合に成立します。侮辱行為は、『言葉』だけに限定されていませんから、理屈から言えば、相手に中指を立てる行為が侮辱罪とされる可能性はあります。しかし、現実問題として、中指を立てる行為が侮辱罪とされたケースは聞いたことがありません」

たしかに、そのようなケースは耳にしたことがない。なぜ、そうなっているのだろうか。

「こうした行為が多くの人の前で『公然』とおこなわれる場合が少ないことがあげられます。さらに、侮辱罪自体が、なかなか認められないという事情もあります。理屈からは、口げんかで『バカ』と言っただけでも侮辱罪になりえます。しかし、現実にその程度のことが刑事事件化することはまずありません。中指を立てる行為にも、これと同じことが言えるでしょう」

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

大山 滋郎
大山 滋郎(おおやま じろう)弁護士 弁護士法人横浜パートナー法律事務所
刑事弁護と企業法務が得意分野。メーカーの法務部門に長く勤め、勤務のかたわらニューヨーク州弁護士資格を取得し、日本の司法試験にも合格した。会社の法律問題を扱う一方、多数の刑事事件を手がける。

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