日本弁護士連合会(日弁連)は10月7日、福井市で人権擁護大会を開き、786名の参加者中、546名の賛成を得て、「死刑制度廃止」の宣言案を可決した。多数の賛成を得たものの、大会の討論では反対意見が相次いで、議論が紛糾した。
●参加弁護士からは厳しい意見も
今大会では、「立憲主義回復宣言」「主権者教育の推進を求める宣言」の2案も賛成多数で可決されたが、発言を求める弁護士もまばらで、参加弁護士のほぼ全員が賛成する形で穏やかに成立した。
一方、「死刑制度廃止宣言」については、数十人の弁護士から質問や発言が相次いだ。発言は一人3分までというルールだったが、時間を超過して訴える弁護士が少なからず見られた。
被害者支援をおこなう87歳のある男性弁護士は、議長の再三の注意を受けていたが、15分以上に渡り、日弁連の宣言案についての批判を展開した。「死刑制度に反対したいなら、自分たちのお金で活動してほしい。私たちのお金(会費)を使わないでほしい」と訴えた。
日弁連が過去に死刑相当事件裁判の被害者参加に否定的な見解を示していたことをあげ、「被害者支援はうそっぱちだ、あなたたちは偽善者だ」と声を荒げる弁護士もいた。
●日弁連「犯罪被害者の声にしっかりと耳を傾けたい」
大会後の記者会見で、日弁連副会長の木村保夫弁護士は、弁護士から「犯罪被害者の人権を無視している」といった声があがっていた点について、「犯罪被害者の声にしっかりと耳を傾け、国民の理解を得るよう全力をつくしていきたい」と語った。
また、大会に出席できない弁護士委任状による投票が認められなかった点について、「人権擁護大会は、集まった弁護士たちが議論をつくし、その結果を世にアピールするために発表するための場だ」として、委任状という形式にそぐわないことを強調した。