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人気女優が「税理士任せ」で巨額の「申告漏れ」 税理士の責任を問うことはできる?
2億5000万円の申告漏れといえば相当な額だ

人気女優が「税理士任せ」で巨額の「申告漏れ」 税理士の責任を問うことはできる?

韓流ドラマ「秋の童話」や「オールイン」などに出演した韓国の人気女優、ソン・ヘギョさん(31)が、韓国で巨額の申告漏れを指摘されたことが報じられ、話題になっている。

報道によると、ソンさんは、3年間で約25億5千万ウォン(約2億5千万円)の申告漏れを、韓国の税務当局から指摘され、追徴課税された。経費の大部分に関して、支出の証明がないと指摘されたという。ソンさんは、「税理士任せ」にしているため、申告漏れに気づかなかったと釈明している。

この「税理士任せ」というのは1つのポイントになりそうだ。日本で「税理士任せ」にして、申告漏れを指摘された場合、税理士の責任を問うことはできるのだろうか。瀧尻将都税理士に聞いた。

●税理士の手違いの場合、責任を負うケースも

「任せていた税理士の手違いにより、脱税が指摘され、必要以上の納税を行うことになった場合、税理士が責任を負うことがあります」

なぜ、税理士が責任を負うことになるのだろうか。

「税理士は引き受けた業務について、職業専門家としての高度な注意義務(善管注意義務)を課せられています。

ですから、税金に対する法律上の誤りや、処理のミスでクライアントに損害が発生した場合、損害賠償請求を負うことがあります」

具体的な請求額はどれくらいになるのだろうか。

「追徴税額は、本来顧客が負担すべき税額です。税理士が責任を負う場合、一般的には加算税と延滞税が損害賠償請求の対象になります。

そのため、クライアントからの損害賠償リスクに備え、保険に加入している税理士も多いです」

●顧客の脱税行為を把握できなかった場合は?

では、逆に税理士が責任を負わないケースはどのような場合だろうか。

「顧客がわざと売上金額を減らしたり、架空の経費を出したりした場合、税理士が把握することは難しいでしょう。こういった場合、原則として、税理士が損害賠償請義務を負うことはないと考えられます。

ただし、知っていても黙認していたり、脱税を指南したりした場合は、税理士法違反となります」

瀧尻税理士はこう締めくくった。

【取材協力税理士】

瀧尻 将都(たきしり・まさと)税理士

「三方よし」の精神をモットーにわかりやすい税務会計サービスを提供しています。事業承継業務を得意とし、経営者とともに苦楽をともにし、熱意を持って業務を行う。

事務所名   : 瀧尻将都税理士事務所

(税理士ドットコムトピックス)

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