打越 さく良 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
教育学を研究するため、東京大学大学院の博士課程でフェミニズムや教育を学んでいました。しかし、次第に、「学問というよりは、女性や子どもに関する実際の問題に携われれば」という思いが強くなってきました。家庭裁判所の調査官も考えましたが、年齢制限があったため、弁護士を目指そうと決意しました。
仕事で嬉しかったこと
初めて相談に来たときは弱々しくやっと小声で話しているという感じだったDVの被害者の方が、事件が解決に向かい、さばさばと元気に前向きになっていく姿を見るときです。
受験生時代に苦労したこと
憲法が好きで、刑法や刑事訴訟法は理解しやすかったのですが、商法や手形・小切手法はなじみにくかったですね。
私は、博士課程まで進んでいて「後がない!」という思いがあったので、やみくもに、猛烈に、死ぬほど(笑)、頑張りました。
濃密に2年間、「瞬間最大風速」では一日19時間、コンスタントに毎日16時間以上、勉強していましたね。…無理に真似すると身体を壊しますので、それぞれの気力体力に見合うようにおやりになれば(笑)。
現在はどのような案件を中心に取り組まれていますか。
家事事件が専門で、特に離婚事件を中心にして、DVの被害者関係の案件に取り組んでいます。また、日弁連の日本司法支援センター対応室の嘱託で、日弁連としての方針決定や提案をする際の下調べ役のような仕事をしています。 その他には、東京都の北児童相談所の非常勤嘱託として、児童福祉司の方々と子どもの虐待案件についても取り組んでいます。
家庭問題を手がける際に心がけていること
依頼者の方は、他人には話せないことを打ち明けられますから、その人の身にたって考えるように心がけています。
また、日々の小さな出来事の積み重ねが家庭問題となっていますから、「些細なこと」などと安易に決めつけず、受け止めるようにしています。人の痛みをわかって受容することが大切だと思います。
ライフ・ワーク・バランスの工夫
行き当たりばったりですよ(笑)。ただ、仕事は17時までにして、夜は家族との時間を作るようにしています。また、子供が起きる前の午前3時から6時までにも仕事をしています。私は仕事が好きなので、自分の時間は電車で本を読む程度でも苦にならないですね。
休日の過ごし方
日曜日くらいですが、午前中に家事をまとめて済ませた後、子供と近所の図書館や公園、遊園地に行ったりしています。
印象に残っている事例
一番辛かった案件は、フィリピン人の母親が、子どもを日本人の父親に奪われてしまったという事件です。
日本人の父親に離婚届を勝手に出されてしまったため、子どもの親権の帰属をめぐって、離婚無効確認訴訟を提起しましたが、長期化しました。
5年間以上に及ぶ裁判の間に、子どもは日本語しか話せなくなってしまい、母親への引渡しは認められませんでした。裁判官も非常に同情してくださり、和解で、監護権の分属や面会交流が認められることとなりましたが、母親の気持ちを思うと、辛かったです。
弁護士に最も求められる力
「健全な想像力」―傷ついた人の痛みに共感する力―だと思います。同業である夫の口ぐせですが、まさにその通りと思っています。
悩みを抱える方へのメッセージ
法的なところは弁護士が専門ですし、相談内容のプライバシーも守られます。問題が深く、重くなる前に、安心して気軽にアクセスしていただければと思います。