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民事裁判の満足度は「わずか2割」――「遠い遠い存在」の司法は変わることができるか
東京・有楽町で開かれたシンポジウム「いま司法は国民の期待にこたえているか」

民事裁判の満足度は「わずか2割」――「遠い遠い存在」の司法は変わることができるか

民事司法のあり方を利用者の視点で考えるシンポジウム「いま司法は国民の期待にこたえているか」が6月20日、東京・有楽町のよみうりホールで開かれた。日弁連と東京3弁護士会の主催。村越進・日弁連会長は冒頭の挨拶で、「裁判需要がどんどん拡大すると言われていたが、現実は違った。民事裁判の利用件数は減少すらしている。その原因は民事裁判が使いやすいものでもなく、本当に役に立つものにもなっていないからだ」と述べた。

●消費者被害で弁護士に相談する人は「1%」にすぎない

法学者らが行った意識調査によると、民事裁判を利用した人の満足度はわずか「2割」(2011年)しかない。パネルディスカッションでは、経済、消費者、労働など各分野の論客8人が登壇。そうした実態を踏まえて、いまの民事裁判に何が欠けているのか、どうすれば「より使いやすい司法制度」が実現できるのかについて、意見を交わした。

全国消費者団体連絡会の河野康子・事務局長は「消費者被害は高齢者に集中している。消費生活センターなどの窓口に相談した人はわずか2%、弁護士に相談した人はさらに少数の1%にとどまる」「トラブルに巻き込まれた数多くの消費者にとっては、日本の司法というのは遠い遠い存在だ」と述べ、被害者が司法にたどり着けない現状を指摘した。

また、連合の新谷信幸・総合労働局長は「労働審判は、紛争解決率も労働者側の満足度も高く、利用件数が増えている。それに伴って審判官の確保が急務となっている」と話した。議論のテーマはほかにも、訴訟費用の見直しと弁護士保険や裁判証拠を集める手続きの拡充、弁護士の専門認定制度など多岐に及び、シンポは約3時間休憩なしのノンストップで続いた。

シンポジウムには数多くの弁護士ら、司法関係者が集まり、会場から寄せられた質問にパネリストが答える一幕もあった。高中正彦・東京弁護士会長は「鋭い切り口で問題提起をしていただいた。われわれ実務家に対する、厳しいお話もあったように思う」と話していた。

※初出時、高中正彦・東京弁護士会長の漢字に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。( 6月23日23時訂正)

(弁護士ドットコムニュース)

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