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コンビニで「会計前のおにぎり」を食べたら怒られた! 後からお金を払ってもダメ?
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コンビニで「会計前のおにぎり」を食べたら怒られた! 後からお金を払ってもダメ?

お腹を空かせて駆け込んだコンビニで、レジの前には長蛇の列。そこで、1〜2分後には支払うのだからと「会計前のおにぎり食ったら、怒られた」。ネット上の掲示板に、こんな書き込みが投稿された。

投稿者はおにぎりを食べ終えた後「レジでおにぎりのゴミを出したら、店員に『もうしないでください!』と言われた」そうだ。しかし、「後から金払うんだから先に食べてもいいだろ」と、投稿者は不満な様子だ。

考えてみれば、レストランではお金を払う前に食事をしても、何も文句を言われない。コンビニで、会計前のおにぎりを食べた男性の行動には、本当に問題があるのか? 石井龍一弁護士に聞いた。

●会計前におにぎりを食べたら「窃盗罪」?

「『他人が占有する財物を、占有者の意思に反して、自己の占有に移転させる』と、窃盗罪が成立します」

石井弁護士はこのように切り出した。「占有」とは、ある物を物理的に支配することだ。では、今回のケースも「窃盗罪」になってしまうのか?

「コンビニで売られているおにぎりも『財物』であり、店内に置かれている間は、店が占有していることになります。

客がレジに持って行って代金を払えば、おにぎり(=財物)は、客の占有に移ることになります。しかし、代金を払う前に袋を開けて食べてしまえば、まだ店側が占有しているおにぎりを、客が店側の意思に反して、自己の占有に移転させることになってしまいます。

これは、紛れもない窃盗行為です」

投稿者は、「あとで代金を払うからいいだろ」と主張しているが・・・。

「そう思う人もいるかも知れませんが、いったん成立した窃盗罪は、その後に代金を払ったりお金で弁償したりしても、なかったことにはなりません」

●レストランは、なぜ後払いでも問題ない?

しかし、レストランでは、代金を支払う前に食事しても文句を言われない。なぜだろうか?

「コンビニの取引形態は、レジで代金を支払うのと商品の引渡しが同時にされます。一方で、レストランでは、先に食事をして代金は後払いという取引形態が一般的です。

レストラン側がこのような取引形態を承諾しているので、代金を払う前に料理(=財物)を食べても、店側の意思に反して占有を移転させたとは考えられないのです。

ちなみに、食べた後に代金を払わずに逃げたら、窃盗ではなく『詐欺罪』が成立します」

支払いが前か、後か。決定権は客ではなく、店側にあるようだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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