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台風や豪雨で「自宅」がこわれてしまった・・・「税金」の負担を軽くできる方法とは?
万が一に備え、今から災害に備えておきたいものだ

台風や豪雨で「自宅」がこわれてしまった・・・「税金」の負担を軽くできる方法とは?

70人以上の死者が出た広島市北部の豪雨災害。8月20日未明、山あいの地域で土砂崩れが同時多発して、住宅が次々に襲われた。住民1200人以上が避難生活を余儀なくされるなど、その被害の大きさは際立っている。

今年は台風による被害も大きかった。8月上旬には、大型の台風11号、12号が日本列島に立て続けに上陸し、各地に多くの被害をもたらした。

こういった災害の場合、自治体などによる様々な支援策があるだろうが、税制面ではどんな支援策があるのだろうか。税理士の力丸宣康氏に聞いた。

●所得を減らす方法と、税金自体を減らす方法

「災害にあった場合、確定申告の際に、所得税を軽減できる制度があります」

このように力丸税理士は切り出した。

「方法は2つあります。所得を減らす効果のある『雑損控除』と、税金自体を減らす『災害減免法』です。所得が1000万円以下の場合、有利なほうを選択できますが、1000万円を超えると『災害減免法』は使えないので、注意が必要です」

具体的にはどんな制度なのだろうか。

「『雑損控除』は、損害を受けた資産の時価から、保険金などの金額を差し引いた金額が基準になります。この金額が所得の10%を超えた場合や、災害に関する支出(住宅の取り壊しや修繕費用など)が5万円を超えた場合、どちらか多いほうの金額を所得から控除することができます」

この「損害を受けた資産」とは、どのようなものを指すのだろうか。

「住宅など、『生活に必要な資産』のみが対象となり、別荘や30万円を超える書画骨董、貴金属などは対象とはなりません」

●どちらが有利かは損害額や所得額による

では、もう1つの「災害減免法」とはどういったものだろうか。

「『災害減免法』は、直接所得税の負担を軽くする方法です。住宅や家財の損害額が、その時価の2分の1以上の場合に使うことができます。

この対象者になった場合、所得金額に応じて『全額』『2分の1』『4分の1』の3パターンのいずれかで所得税が免除、軽減されます」

では、「雑損控除」と「災害減免法」はどちらが有利なのだろうか。

「どちらが有利かは損害額の程度や所得金額によるので、シミュレーションが必要です。

『災害減免法』の適用は被害にあったその年度ですが、『雑損控除』の場合は3年間の繰り越しが可能です。 

どちらも確定申告を行わねばならず、『雑損控除』の場合、災害関連の支出に関する領収書などが必要です。『災害減免法』の場合は、損失額の明細書の作成が必要になります。

被害自体が最小限であることが望ましいですが、万が一被害を受けられた場合は、制度の活用をお勧めいたします」

災害にはいつ襲われるか分からないので、事前にチェックしておくといいだろう。

【取材協力税理士】

力丸 宣康 (りきまる・のぶやす)税理士・公認会計士

新日本有限責任監査法人を経て、福岡市中央区天神にて開業。“ 経営者と想いを共有する ”を理念に、孤独な存在である経営者のサポートを全力で行っている。学生時代ラグビーで培った、実直さ、フットワークの軽さが持ち味。

事務所名   :力丸公認会計士事務所

事務所URL:http://www.rikimaru-cpa.com/

(税理士ドットコムトピックス)

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