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池袋サンシャインで「準暴力団」が乱闘騒ぎ…20代男性流血、店のドア壊れる被害…ところが「罪に問われない」可能性も
サンシャイン(yama1221 / PIXTA)

池袋サンシャインで「準暴力団」が乱闘騒ぎ…20代男性流血、店のドア壊れる被害…ところが「罪に問われない」可能性も

東京・池袋の「サンシャイン60」高層階に入る飲食店で10月16日、乱闘騒ぎがあり、警察が駆けつける事態となった。

100人規模で宴会がおこなわれる中、一部の客同士が殴り合いのケンカを起こし、20代の男性1人が頭から血を流すなどの軽傷を負ったという。また、店のドアが壊れるなどの影響もあったそうだ。

暴力団対策法の適用を受けない「準暴力団」の集まりで、身内同士の内輪揉めか、あるいは他の不良グループによる襲撃の可能性などもあると報じられている。

警察が到着する前に、現場からは大半が姿を消していたという。

このような乱闘はどのような罪に問われうるのだろうか。被害者が被害届を提出したり、告訴などの手続きは必要となるのか。坂口靖弁護士に聞いた。

●暴行罪や傷害罪は「親告罪」ではないが…

今回のケースの詳細は不明ですが、現時点では、暴行罪(暴力行為処罰法違反も含む)、傷害罪、器物損壊罪などが考えられます。

暴力行為処罰法違反とは、暴力団などの団体が多数で威力を示したうえで暴行罪に至ったような場合に成立する犯罪です。その法定刑は暴行罪よりも重く、3年以下の懲役等に問われる可能性があります。

この中で、器物損壊罪は親告罪のため、被害者の告訴がなければ、加害者に刑事処罰を与えることはできません。一方で、暴行罪や傷害罪は、親告罪ではありません。

したがって、暴行罪や傷害罪に関しては、被害者から被害届の提出や告訴がなかったとしても、加害者を捜査して、処罰を受けさせることは可能です。

しかし、通常は、暴行罪や傷害罪の場合、捜査を実施して、刑事裁判を維持したうえで、加害者に処罰を与えるためには、証拠として「被害者の供述」が必要不可欠となるのが実情です。

ですので、被害者が被害届を提出せず、捜査・取り調べにも一切協力しないような場合には、加害者は刑事処罰を受けることなく不起訴となり、事件は終了するということは十分にありうるところです。

ただし、被害者が被害届等を提出しなくとも、加害者が逮捕されること自体はありえます。

加害者の勾留期間中に、捜査機関が被害者に繰り返し接触・説得して、協力を得ることもよく見受けられるところです。

今回のケースでは、目撃者の供述や防犯カメラ映像によって、起訴して有罪にまで持っていけるという可能性もあるかもしれませんが、基本的には被害者の供述や被害者の協力がなければ、ケガを負った事実などを立証することは困難であるため、一般的には、不起訴になることがほとんどだと思われます。

プロフィール

坂口 靖
坂口 靖(さかぐち やすし)弁護士 プロスペクト法律事務所
大学を卒業後、東京FM「やまだひさしのラジアンリミテッド」等のラジオ番組制作業務に従事。その後、28歳の時に突如弁護士を志し、全くの初学者から3年の期間を経て旧司法試験に合格。弁護士となった後、1年目から年間100件を超える刑事事件の弁護を担当。以後弁護士としての数多くの刑事事件に携わり、現在に至る。YouTube「弁護士坂口靖ちゃんねる」 <https://www.youtube.com/channel/UC0Bjqcnpn5ANmDlijqmxYBA> も更新中。

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