小出 康夫 弁護士
地上げ業者から、不動産買取りの話があった際にご相談に来られれば、十分ご希望に添った交渉をすることが可能でした。でも、いったん契約書に署名捺印してしまった以上、契約内容を変更することは困難です。そう申し上げたところ、このままでは家に帰れないんですと、今にも泣き出しそうな顔をされてしまった。事務所のすぐご近所の案件でもあり、人の良さそうな相談者をそのままお帰しするわけにはいきませんでした。「あといくら必要ですか?」とお聞きしたところ、「400万円あれば何とかなります」とのお答えでした。そこで、ダメ元であることを前提にして、「いくら増額できるかは保証できないけど、やれるだけやってみましょう」と申し出ました。通常であれば、着手金をお預かりして交渉に入るのですが、その余裕はなさそうでしたので、こちらも腹をくくり、着手金・報酬金ともに、増額できた金員からいただくことにしました。さっそく業者に連絡を入れたところ、「先生ご冗談でしょう?もう契約済みですよ。」とけんもほろろの対応。そんなことわかってらい。そこを何とかと粘ったところ、業者が「まあ、お話だけはお聞きしましょうか」と言って、翌日事務所に来所された。相談者の事情を説明し、このままでは引越・明渡しが実現しないと30分ほどがんばったが、話が進まない。もうだめかとあきらめかけた矢先、業者が「ちょっと失礼します」と言って、携帯とタブレットを目の前で操作し始めた。暫時経過後、「先生、450万でいいですか?」と発言。「えっ、本当?」「それでお願いします」と言おうとしたら、「じゃ、先生の顔を立てて、550万にしましょう」とさらに金額がアップ。やったー! どうやら、すでに資材の手配や建築計画が切迫していたようで、ここで相談者の不動産が抜けてしまうと大きな損失が出るらしく、本社と相談の上一気に話を決めてしまおうとしたようです。結果、売買代金を550万円増額した新契約書の作成にこぎ着けました。新住居も、お子さんの通学圏内で希望に添った物件を確保できました。
地上げ業者と一旦契約した後、売却代金増額の再交渉をまとめた事案の
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