性犯罪「現行の要件のままでよい」4割以上、弁護士515人が回答
同性婚、夫婦別姓、少年法改正など、最近でも多くの法制度をめぐる議論や変化が「社会問題」となっている。弁護士ドットコムタイムズ編集部では、近年の社会問題に関連した法制度のあり方などについて弁護士に聞くアンケートを実施した(回答期間:8月、7、8日 有効回答人数:515人)。 6回目は、強制性交等罪などの性犯罪規定についての結果を紹介する。 ※写真は法務省(MARODG / PIXTA)
「現行の要件のままでよい」42.5%で最多
現行法では、強制性交等罪や準強制性交等罪が成立するためには「同意がなかった」だけでは足りず、「暴行・脅迫」や「心神喪失・抗拒不能」の要件が必要とされている。そのため、現状は同意のない性交等が処罰されないとして、「不同意性交等罪」の創設を求める声もある。2021年5月の法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」の取りまとめ報告書では、不同意のみを要件とすると、処罰される対象範囲に課題が残ると指摘した一方、手段や状態などの要件を具体的に列挙することについては、肯定的な意見が多かったとされている。
現行法の要件について、弁護士515人に聞いたところ、「現行の要件のままでよい」が42.5%で最多となった。「不同意のみを要件とする不同意性交等罪が必要」は5.8%。「不同意を要件とする不同意性交等罪は必要だが、不同意にかかる手段や状態も併せて列挙すべき」は24.5%で、「現行の要件を見直す必要はあるが、不同意を要件とすべきでない」は20.4%だった。
「不同意を要件とする不同意性交等罪は必要だが、不同意にかかる手段や状態も併せて列挙すべき」と回答した弁護士からは、「手段や状態の列挙と併せて、被害者の『抵抗』ではなく、『その他その者の意思に反して』という『不同意』を(その他の構成要件に当てはまらなかった時に適用できる)受け皿要件とすべき」との意見が寄せられた。