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東京ミネルヴァ解散から1年、破産の経緯を振り返る

東京ミネルヴァ解散から1年、破産の経緯を振り返る

CMや説明会を全国的に展開し、債務整理案件を中心に扱っていた東京ミネルヴァ法律事務所(第一東京弁護士会)の破産手続開始が2020年6月24日に決定してから1年が経過した。破産管財人が債権者集会に提出した資料などから、東京ミネルヴァが弁護士法人としては過去最大規模となる約51億円の負債を抱えて破産した経緯や、現状を紹介する。 (弁護士ドットコムタイムズVol.59<2021年6月発行>より)

負債額は約51億、弁護士法人として最大規模

2020年5月下旬、東京ミネルヴァ法律事務所(以下、東京ミネルヴァ)が所属する第一東京弁護士会に対して、依頼者から「東京ミネルヴァと連絡が取れない」「受け取れるはずのお金が支払われない」などの相談が寄せられるようになった。一弁の調査で、6月10日に解散登記がされていたことが判明した。

一弁は、東京ミネルヴァに残された財産を保全して依頼者に返還するため、法人会費の滞納を理由に、破産手続きの開始を東京地方裁判所に申し立てた。東京地裁は、6月24日に東京ミネルヴァの破産手続き開始を決定。帝国データバンクによると、負債額は約51億円で、弁護士法人の破産としては過去最大規模となった。

12年に設立、債務整理案件を全国で展開

2021年1月、第1回債権者集会が開催され、2020年7月に設立された被害対策弁護団や、解散時に東京ミネルヴァの代表弁護士を務めていた川島浩氏(破産手続開始決定時に弁護士資格を喪失)などが出席した。

債権者集会で破産管財人が提出した資料によると、東京ミネルヴァは2012年4月、東京都千代田区に設立。2020年6月の解散までに代表弁護士が2度交代しており、解散時に代表だった川島氏は2017年8月に就任した。

東京ミネルヴァの主な事業は、自己破産や任意整理、個人再生といった債務整理案件とB型肝炎給付金請求案件が大半を占め、中でも過払金返還請求が事業の中心だった。東京ミネルヴァは支店を開設していなかったが、テレビやラジオ、ウェブ広告などを広く展開して事務所名の浸透を図り、地方相談会を開催して、全国から依頼者を募っていた。

最後のホームページの更新があったとみられる2020年2月の段階で、解散時に東京ミネルヴァに所属していた弁護士は、川島氏のほかに5人で、いずれも東京の弁護士会に所属している。5人の現在の所属を調べると、2021年4月時点で、1人が都内に法律事務所を開設し、その事務所に2人が所属。ほかの2人は、都内の大規模事務所に移籍している。

広告会社がテナントを転貸、人材派遣も

 破産管財人の資料によると、東京ミネルヴァの広告を担当していた広告会社は、広告業務だけでなく事務所経営にも、様々な関与があったと見られている。具体的には以下のような関与の可能性が指摘されている。

・オフィスを賃貸人から借り上げ、東京ミネルヴァに転貸する

・事務所内の内装やパソコンなどの什器備品を賃貸する

・雇用している事務員を東京ミネルヴァに派遣する

派遣されていた事務員は、依頼者への連絡や問い合わせ対応、金融業者への連絡・協議・交渉といった法律事務を担うなどの非弁行為をしていた可能性がある。このような関与を通じ、広告会社は東京ミネルヴァに多額の報酬や費目を請求し、資金繰りや人員なども取り仕切っていた。

売上を超える経費の支払いが8期中5期

破産管財人が東京ミネルヴァの会計データから、売上と広告会社に対する経費を調べたところ、2012年の事務所設立以来、8期中7期において売上高を超える経費を広告会社に計上し、5期において売上を超える額を支払っていたことがわかった(表)。



売上と経費の計上額の差が最も大きかったのは、2015年3月期で8億7518万1000円。支払額の差が最も大きかったのは同期の5億9677万4000円だった。全期を通じて、売上と支払額の差をみると、支払額が3億4883万8000円の超過となっていた。

また、東京ミネルヴァの税務申告書に添付された決算書などによると、8期中7期の決算が赤字で、成立初年度から現預金残高が預かり金総額を下回る状態が続き、一度も解消されていなかったことなどもわかった。

管財人が約10億を回収、集会で元代表が謝罪

 広告会社への支払いに依頼者からの預り金を流用するなど、自転車操業に陥った東京ミネルヴァは2020年6月に解散。同月に一弁が破産手続き開始を東京地裁に申し立て、東京ミネルヴァの債務に無限責任を負う川島氏も、同時期に破産手続き開始を申し立てた。東京地裁は同月、岩崎晃弁護士(第一東京弁護士会)を破産管財人に選任した。

債権者集会では破産管財人が、破産時に東京ミネルヴァに残っていた預金約4億7600万円のほか、東京ミネルヴァに所属していた弁護士が開設し、事件を引きつぎ、元東京ミネルヴァに在籍していた弁護士3人がいる事務所に移された約5億7700万円など、約10億円を回収したと報告。長野県にある東京ミネルヴァ名義の土地・建物も財産として回収し、入札の手続きをしていることも報告した。また、集会には川島氏も出席し、冒頭に「申し訳ない」と謝罪したが、破産に至った経緯や広告会社との関係などに関する説明はなかった。

7月にも広告会社に広告費を返還請求か

2回目の債権者集会は2021年7月に開催予定。破産管財人は2021年3月、東京ミネルヴァの元依頼者などの債権者に対し、東京ミネルヴァに対する債権額などを記入する「破産債権届出書」を発送しており、2回目の債権者集会で、債務の総額が明らかになる見通しだ。

被害対策弁護団の事務局長を務める石川浩一郎弁護士(千葉県弁護士会)は、弁護士ドットコムタイムズに対し、「2回目の債権者集会で、被害の規模が明らかになる。破産管財人が広告会社に対し、広告料などの返還を求めるか方針を示すのではないか」と分析。破産管財人の方針を踏まえ、被害対策弁護団としても広告会社の実質的な代表者などへの責任追及を検討するとしている。

弁護士ドットコムタイムズでは、代理人を通じて川島氏に取材を申し入れているが、4月23日時点で「破産などに関する事情聴取が続いており、取材に対応することはできない」としていて、取材に応じていない。

※画像はピクスタ


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