法科大学院、かつては競争倍率「8倍」ごえの学校も…全盛期を振り返る
法科大学院制度が2004年4月に始まってから、17年が経過した。 創設当初は競争倍率が高く、人気を博していた法科大学院。しかし、廃止や学生の募集停止が続き、2020年度に入学者選抜をおこなった学校数は、ピーク時の半数以下となっている。現在の司法試験受験生の中には、法科大学院の「全盛期」を知らない人たちもいる。 文部科学省がホームページで公表しているデータなどをもとに、法科大学院制度の全盛期から2020年度までを、2回に分けて振り返る。2回目は競争倍率の推移を紹介する。
●競争倍率「8倍」ごえの人気校も
創設当初の法科大学院は人気を博し、入学試験を突破するために予備校に通う学生もいた。平均競争倍率(受験者数÷合格者数)も高く、創設時(2004年度)は4.45倍。翌年には3.13倍に落ち着いたものの、その後も2011年度までは3倍前後の競争倍率を維持していた。
ところが、2012年度から下がり始め、2016年度にはついに2倍を下回った。2017年度は入学者選抜をおこなった43校のうち、競争倍率2倍以上の法科大学院が2016度よりも7校増加し、1.5倍未満が5校減ったこともあり、競争倍率は2倍台に持ち直した。2020年度は2.21倍となっている。
法科大学院別に競争倍率をみると、創設から5年となる2009年度時点では、東京都立大学と千葉大学が8倍をこえており、筑波大学、上智大学や横浜国立大学(現在は募集を停止)も5倍をこえていた。他方、2009年度時点で2倍未満の学校も40校以上あった。
2020年度に入学者選抜をおこなった法科大学院35校のうち、競争倍率が2倍を切ったのは「南山大学」1校のみだった。しかし、過去5年を振り返れば、ほかにも2倍に満たなかった法科大学院はある。
「7つの先導的法科大学院」(LL7)とされる7大学(京都大・慶應義塾大・神戸大・中央大・東京大・一橋大・早稲田大)も例外ではない。2009年度から比較すれば、いずれの学校も競争倍率は低下している。
●「3+2法曹コース」に期待か
2020年度からは、法学部と法科大学院の連携による「3+2法曹コース」の制度が始まった。ネット上には、新たな法曹養成の制度に期待する声もある一方で、「法科大学院制度を廃止すべきではないか」との声もみられる。
法科大学院はどのような方向に進むのか。今後の動向が注目される。