神山 公仁彦 弁護士
A子さんの金融資産は、夫B氏が全て掌握し、B氏は、一人息子のCさんにすらA子さんの財産を明らかにしようとはしませんでした。そのため、成年後見の申立書に添付されていた財産目録では、金融資産の種類や金額は不明とされていました。私は、成年後見人に選任された後、大手の金融機関やA子さんと関連のありそうな金融機関に対して、片っ端からA子さん名義の口座の有無について全店検索を依頼して、財産調査を行っていきました(年金の振込口座については、年金事務所への照会で判明しました。)。その結果、複数の金融機関で合計1億円以上の金融資産の存在が判明したため、それらの金融機関に後見届けをし、通帳等の再発行を受けるなどしてA子さんの財産を管理していきました。もちろん、同時並行で、夫B氏に対しても、成年後見制度の趣旨を説明してA子さんの財産を開示してくれるよう依頼しましたが、予想どおりB氏はそれを拒絶してきました。こうして、B氏が掌握していたA子さんの財産は、全て成年後見人である私が管理するに至りました。なお、最初のうちは、B氏は、自分が所持しているA子さん名義のキャッシュカードでの預金の払戻しができなくなったということで、私のもとに猛烈な抗議の電話を掛けたりしてきました。私からは、その都度成年後見制度の趣旨を説明して理解を求めましたが、なかなか理解を得ることはできず、そのうちにB氏からの電話はなくなりました。そして、その後、B氏も認知症のため施設に入所され、B氏にも成年後見人が就きました。その数年後、A子さんは他界され、家庭裁判所に任務終了の報告をし、A子さんの相続人に財産を引き継いで、成年後見人の任務を終えました。
成年後見開始時は本人の金融資産の所在・金額が不明であったが、その後の調査で複数の金融機関に総額1億円以上の財産があることが判明した事例。の
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