- 遺言
相手方が生前贈与を受けているにもかかわらず,それを示す資料がない場合に,相手方に特別受益の存在を認めさせる手段
相談前の状況 相手方相続人が,被相続人の生前に,不動産の取得費用の頭金の援助を受けていることは間違いありません。金額は600万円と分かっているのですが,それを示す資料がないため,どうしたら良いかという相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
特別受益について協議が整わなかったため,調停の申立てをしました。
不動産について登記簿を確認したところ,相手方と相手方配偶者の共有となっており,相手方配偶者が住宅ローンを組んでいたことが分かりました。また共有持ち分は,相手方が10分の2,相手方配偶者が10分の8であり,住宅ローンの金額が2400万円であることが分かりました。
相手方が受領しているはずの生前贈与の金額が600万円であり,これを頭金にして残金2400万円を相手方配偶者がローンを組んだならば,不動産の共有持ち分は相手方が10分の2,相手方配偶者が10分の8となり,実際の登記の記載に一致しています。
これを調停で主張したところ,裁判所も理解を示し,相手方を説得してくれたためか,相手方も600万円の生前贈与を認め,無事調停成立に至りました。
森下 達 弁護士からのコメント
遺産分割においては,少なからず生前贈与による特別受益が問題になることがあります。他方で,家族間の贈与ですので,贈与を示す書面が残っていることは,あまりありません。
そのようなときには,通帳の履歴,登記簿といった資料を手掛かりに,何とか裏付け資料がないかを探っていくことになります。今回のケースは数字が正確に一致したため,特別受益の存在を示すことができました。
特別受益を調べるには存在する資料を読み込み,そこに記載される文言・数字の意味を考えていく作業が不可欠になります。
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