大槻 厚志 弁護士
(1)依頼者本人は既に92歳と高齢となっておりました。高齢の割には矍鑠とした男性でしたが、それでも、細かい事などは既に忘れておりました。そのため、本来、私のやり方としては、依頼者本人からこの間の経緯につき詳細な聞き取りを行い、「陳述書」を作成し、この「陳述書」をもとに「訴状」を作成するのですが、この事件については、詳細な聞き取りができないことから、取引資料を先物取引業者の方から提出させたうえ、その資料に基づき、客観的な事実を中心に「訴状」を作成しました。(2)本件における一番の問題は、法令や経産省や農水省の指針に基づき、75歳以上の高齢者に対する勧誘は「適合性原則」に照らして不適当とされているにもかかわらず、外務員は、依頼者が86歳と超高齢者となっていることを十分知りつつ、しかも、依頼者に取引をさせることは、会社も認めないであろうことも認識していたため、依頼者及び長男を説得して、脱法的に本件取引を長男名義で開始させたことです。(3)そのため、「適合性原則違反」を中心として主張し、その他にも、「過当な売買取引」、「一任売買」、「転がし等無意味な反復売買等」が存在し、これらの一連の外務員の行為は不法行為を構成するとして、実質的な損害を約2250万円として、会社に対し、損害賠償請求を提起しました。(4)提訴後、約1年半かけて争い、裁判所から「和解案」として、会社が依頼者に対し、1200万円を支払うという提案がなされました。(5)本件事案は、極めて悪質な事案であり、長年、先物取引被害の事件を取り扱った経験のある私でも、経験したことのない事案でした。したがって、「和解案」については不満な点はありましたが、依頼者が「和解案」が出された当時、既に93歳と極めて高齢であり、早期解決を希望しており、依頼者自身が裁判所の提案を受け入れるとのことでしたので、裁判所の「和解案」を受けるという判断をし、会社側もこの提案を受け、和解が成立しました。
損害賠償請求事件(商品先物取引被害)の
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