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風俗マニアの「本番」交渉男、「でっちあげ」恐れて嬢との会話を録音…アリかナシか
画像はイメージです(Stockcrafter/PIXTA)

風俗マニアの「本番」交渉男、「でっちあげ」恐れて嬢との会話を録音…アリかナシか

「女性との会話を一部始終録音しているんですけど、大丈夫ですか」ーー。性風俗をよく利用している男性から、こんな質問が弁護士ドットコムに寄せられました。

録音の目的は、女性から「無理やりされた」などと「事件」をでっちあげられたときに無実を証明するためだといいます。

確かに性風俗は基本的に密室ですから、女性にウソをつかれると、お店から罰金などを求められたり、警察沙汰になったりする可能性もありそうです。

とはいえ、そこで行われる行為は極めて「プライベート」なものと言えます。録音なんかして大丈夫なんでしょうか。ぼったくり問題に詳しい古川穣史弁護士に聞きました。

●録音で「合意」を証明できるとは限らない

ーー録音はいざというとき有効なのでしょうか?

録音自体は、証拠として有効となることもあると思います。自衛手段として使うこともできるでしょう。たとえば、風俗店で説明と実際の中身が違うなどを立証するためには役に立つと思います。ぼったくりを防ぐためにも有効でしょう。

ただ、大抵の風俗店は録音、録画は禁止しており、明らかになればトラブルは避けられないでしょう。

また、いわゆる「本番行為」は店舗においてもちろん禁止されていますし、売春防止法上も罰則はありませんが、禁止されています。

そのような前提がある上に、密室だと危害を加えられるかもしれないなどの理由で断りづらいことも考えられますから、録音だけで明確に合意があったというのは難しい場面もあるのではないでしょうか。

●録音するだけで民事上の責任を負う可能性も

ーーそもそも録音しても大丈夫なんでしょうか?

まず、秘密録音すること自体は、刑事上違法とは考えられていません。昨今、録音が原因でいろいろなトラブルに発展していますが、録音した人が刑事処分を受けたという話は聞いたことがないですね。

とはいえ、自衛手段として有用になる場面はあると思いますが、そもそも、性行為そのものを録音するということだけでも通常人は拒否するものと思います。単なる会話の録音とも異なりますから、人格権侵害として民事上違法であるとされる可能性もあります。

もしも、録音が漏えいした場合には、個人の人格権侵害として民事上違法となる可能性は相当程度高くなるでしょうし、慰謝料の支払義務が発生すると思われます。

また、合意を立証するためということですが、性行為の一部始終を録音するとなると、本当にその目的のためだけに録音したといえるのかも疑問を持たれる余地があります。

ーーもしもトラブルに巻き込まれたときはどうすれば良いのでしょう?

実際に風俗店でぼったくりを考えている店舗などは、本番行為をさせて罰金という名目でお金を請求しようとすることがあります。このほか、身分証明書をコピーしたり、名刺をもらったりして生活を妨害してくることもあります。

その際は、刑事事件ともなりえるものですから、警察にも相談して対応していくことも必要でしょう。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

古川 穣史
古川 穣史(ふるかわ じょうじ)弁護士 八木良和法律事務所
夜11時に電話で相談してきた依頼者を助けるために歌舞伎町に赴いて以来、ぼったくりの案件を数多く手掛ける。東京都を中心にDV、ストーカーや刑事事件の被害者側などの案件を積極的に行う。会計事務所の法律顧問として一般民事事件、企業法務なども扱っている。

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