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TVのダイエット特集で「サバ缶」がバカ売れ 痩せなかったらテレビ局を訴えられる?
テレビ番組でダイエット効果が報じられてから、「サバ缶」が飛ぶように売れているという

TVのダイエット特集で「サバ缶」がバカ売れ 痩せなかったらテレビ局を訴えられる?

最近はテレビを見ない人が増えたというが、まだまだその影響力は絶大だ。たとえば、テレビの健康バラエティ番組で「サバ缶」にダイエット効果があると放送されるやいなや、「サバ缶」が飛ぶように売れたようだ。ツイッター上でも「近所のスーパーからサバ缶が消えた」などと、驚きの声が上がっていた。

番組では、スリムな人が多いという山形県村山市の市民が、サバ缶をたくさん食べていると強調。肥満治療の第一人者とされる大学教授が登場し、サバを食べれば「痩せるホルモン」が出る可能性があるなどと説明を行った。

これまでにも、納豆やバナナなど、テレビがきっかけのダイエットブームは何度も起きているが、同じことが繰り返されているわけだ。もし、こういった番組を信じてサバ缶を大量に買ったものの、効果がなかった場合、「テレビにだまされた」として、放送局に償ってもらうことはできるのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。

●テレビ局を訴えても、損害賠償請求が認められる可能性は低い

「たとえば、テレビショッピングで販売業者が『必ず痩せる!』と効能をうたってサバ缶を販売したが、実際には根拠がなかった、というような事案であれば、誇大広告ということで、販売業者の責任を追及することが可能かもしれません。

しかし、テレビの情報番組で、サバ缶がダイエットに効果があるといった情報を視聴者に提供しただけでは、『だまされた』として視聴者がテレビ局を訴えても、認められる可能性は低いでしょう」

このように秋山弁護士は、結論を述べる。なぜ、認められないのだろうか。

「そもそも、テレビ局自体がサバ缶を売っているわけではありません。

また、今回の番組を私は見ていませんが、そうした情報番組では、通常、『サバ缶だけ大量に食べれば確実に痩せる』と断定しているわけではないでしょうし、『効果には個人差があります』といった断りを入れているでしょう。社会通念で考えても、《サバ缶だけを大量に食べれば確実に痩せる》などという話に根拠がないことは明らかです。

そうすると、結局は、そのような番組も、サバ缶が体に良い食べ物であり、ダイエットに一定のプラス効果があるという情報をややオーバーに提供しているだけだといえます。したがって、テレビで放送された情報が全く事実の根拠を欠くとか、裏付けとなるデータが架空のものだといった事情がない限り、その番組制作が違法であるとは言いにくいでしょう」

テレビはあくまで一つの参考情報として、サバ缶の情報を提供しているだけで、「確実にダイエットに効く」と断言しているわけではない、というのがポイントといえるのだろう。視聴者の側もそれは分かっているだろうと、秋山弁護士は指摘している。

「多くの視聴者も、実際には、サバ缶だけ食べれば痩せると信じて買っているわけではなく、多少なりともダイエットに有益なら・・・と考えて買っているだけではないかと思います。サバ缶を食べて健康被害も生じないでしょうし、痩せないから損害賠償請求、というのは難しいと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

秋山 直人
秋山 直人(あきやま なおと)弁護士 たつき総合法律事務所
東京大学法学部卒業。2001年に弁護士登録。所属事務所は溜池山王にあり、弁護士3名で構成。不動産関連トラブルを中心に業務を行っている。

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