「確定申告するにもできなくて困ってます・・・。みんなはどうやって申告してるのですか?」。2月の確定申告の受け付け開始が迫る中、あるソープ嬢の悩みがネットの掲示板に投稿されていた。
確定申告をする意思はあるが、「身バレ」が不安で知人の税理士に相談したところ、「風俗嬢は個人事業主。だけど、個人で経費等の管理ができず、適当に申告したら脱税になる」「そんなことをしたら店に連絡がいって大変なことになる」と言われたという。
実際、適当に申告をしてしまった場合、どんな問題が起きる可能性があるのだろうか。風俗店で働く女性たちの確定申告を専門に対応している松本崇宏税理士に聞いた。
●適当に申告してバレると税金が重くなるが、無申告はさらに重い
「風俗店で働く女性たちは、店に雇用されている従業員ではない場合が多いですね。こうした形は、業務委託契約を結ぶ個人事業主ということになります。個人事業主は、1年間に仕事で得た収入と経費を計算し、確定申告しなければなりません。
もし、自分の収入・経費の管理ができていなかった場合は、店に問い合わせるなどして、まず自分の収入がいくらあったかを確認しましょう。収入が確定したら税理士に相談しましょう。
収入の確認をおろそかにして、実際の収入より少ない申告をしたら、税務調査が入ったときに、収入の計上もれを指摘される可能性があります。結果的に本来納めるべき税金のほかに、重加算税や過少申告加算税が追加で徴収されることになります」
もし、自分の確定申告がきっかけで、店に税務調査が入ったら、責任を問われるだろうか。
「風俗店で働く個人事業主に申告義務があるように、店にも適正に税金を計算し、申告する義務があります。もし仮に店が申告をしていなかったり、不正な申告をしていてそれが税務署等にバレたとしても、それは適正な申告をしたあなたのせいではありません」
では、いっそのこと、申告しなかったら、どうなるだろう。
「納税義務があるのに何もしなかった場合は、無申告ということになります。これは、適当に申告した場合よりもさらに悪い状況を招きます。無申告が税務署にバレたときには、本来納めるべき本税のほかに、無申告加算税等が追徴されるのです。
ですから、領収書など資料を紛失しているケースでも、確定申告は行うべきです」
松本税理士はこのように話していた。
【取材協力税理士】
松本崇宏(まつもと・たかひろ)税理士
「デリヘルはなぜ儲かるのか」(小学館文庫)の出版をきっかけに日本で唯一、風俗業種、キャストの確定申告に特化した税理士法人。全国からマイナンバーや確定申告の相談を多く手がけている。
事務所名:税理士法人松本
事務所URL:http://castax.jp/