若者らが暗い室内で、音楽に合わせて踊る「クラブ」。その営業を規制緩和する改正風営法が6月17日に成立し、24日に公布された。施行は公布から1年以内。飲食や接待を伴わないダンスホールやダンス教室は同法の規制対象から外れる。
これまでの風営法は、客に酒などを提供してダンスさせる店を『風俗営業』と分類していた。今回の改正法は、室内の明るさや営業時間、酒などを提供するか否かなど、その店の営業形態に応じて、新たな規制をおこなう。
たとえば、客室の明るさが10ルクス(映画館の休憩時間中の明るさ程度)を超えていれば、午前0時以降に酒などを提供しないクラブは、通常の飲食店として深夜営業が認められる。また、午前0時以降に酒を出す場合も、特定遊興飲食店営業の許可を取れば、深夜営業ができるようになる。
クラブの規制をめぐっては、時代に合っていないとして、法改正を求める声があがっていた。今回の改正は、どのような影響があるのだろうか。改正風営法の評価について、クラブカルチャーにくわしい藤森純弁護士に聞いた。
●「客にダンスをさせる営業」が風俗営業でなくなった
「今回の改正のポイントは、『客にダンスをさせる営業』が、風営法の『風俗営業』にあたらなくなったということです。風俗営業となると、原則として深夜営業が禁止されるのですが、そうではなくなったのです」
藤森弁護士はこう説明する。どういうことだろうか。
「改正前の風営法では、ダンスの解釈しだいで、客がクラブやライブハウスで音楽に合わせて体を揺らすような場合でさえ、『風俗営業』にあたる可能性がありました。今の時代にそぐわないものでしたが、この問題点が解消されたのです」
ほかにポイントはあるのだろうか。
「これまで禁止されてきた飲食店での『深夜遊興』が解禁されたのもポイントです。
これによって、お酒を提供しない飲食店で、深夜遊興をさせることができるようになります。
また、お酒を提供する飲食店でも、特定遊興飲食店営業(設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に酒類の提供を伴う飲食をさせる営業)の許可を取れば、深夜営業が可能になります」
●クラブだけにとどまらない「規制緩和」になりうる
今回の改正をどのように評価すべきだろうか。
「今回の改正は『クラブ』だけにとどまらず、多くの業態にとって規制緩和となりうる側面があります。日本の成長戦略の観点からも、一定の評価ができると思います」
では、改正に不十分なところはないのだろうか。
「一方で、特定遊興飲食店営業の『遊興』の解釈しだいでは、これまで問題とされなかった営業まで、特定遊興飲食店営業の許可を取らなければならなくなる可能性があります。
たとえば、深夜の落語寄席や深夜の野外フェスなどです。
また、地方自治体の条例によって、特定遊興飲食店営業をおこなえる地域の規制が厳しくなれば、実質的に規制強化となりかねません。
ほかにも問題点がありますが、施行までの1年間で、多くの関係者の協力を得ながら、今まで以上にロビー活動を活発化させていって、解決していくべきだと考えています」
藤森弁護士はこのように述べていた。