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炎上した「ルミネ」CM動画――女性社員に「需要が違う」と言い放つのはセクハラ?
問題になった動画の一場面

炎上した「ルミネ」CM動画――女性社員に「需要が違う」と言い放つのはセクハラ?

JR東日本の駅ビル商業施設「ルミネ」が3月中旬にYouTubeで公開したCM動画が、女性に対するセクハラだと批判され、公開停止に追い込まれた。ルミネは、ホームページで「ご不快に思われる表現がありましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

●批判を受けた「需要が違う」というフレーズ

批判を受けたのは、動画シリーズ「働く女性たちを応援するスペシャルムービー」の第1弾だ。

職場の先輩とみられる男性が、主人公の女性社員の容姿に触れて「顔、疲れているな。残業?」「寝てそれ?はっはっは」と発言。さらに、華やかな雰囲気の別の女性社員について「やっぱかわいいなあ」と口にしながら、主人公に対して「大丈夫だよ、需要が違うんだから」と言い放つのだ。

すると、画面には「需要」という言葉が大きく表示され、国語辞典の用語解説のように、次の説明文が映し出される。

「【需要】じゅ・よう――求められること。この場合、『単なる仕事仲間』であり『職場の華ではない』という揶揄(やゆ)」

この「需要」についての説明文と、その前の男性社員の発言が、非難の的となった。ネット上では「セクハラだ」「不快だ」という声があがり、炎上。3月18日に公開された動画は、2日後の20日に非公開となった。

ルミネの総合企画部の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「当社が公開した動画にご不快に思われる表現があり、インターネットだけではなく、電話でも多くのご意見をいただいた。ただただ、深くお詫び申し上げたい」と答えた。

このように批判を浴びたルミネの動画だが、「需要が違う」といった男性社員の発言は「セクハラ」にあたるのだろうか。高木由美子弁護士に聞いた。

●別の女性をほめる発言もセクハラ?

「男性の発言は明らかにセクハラにあたります」

高木弁護士はこのようにズバリ述べる。

「最高裁判決(2015年2月26日)でも確認されましたが、セクハラに該当するかどうかの判断基準は、女性が被害者の場合、『一般的な女性労働者の感じ方』を基準に、不快と感じるかどうかを判断します。もし不快と感じる場合、セクハラに該当することになります」

不快にさせる意図がなかったとしても、セクハラにあたるのだろうか。

「たとえ、セクハラの意図がなかったとしても、男性社員の発言は、平均的な女性従業員が不快に感じるものだと思います。したがって、けなされた主人公の女性に対するセクハラにあたります。

また、主人公の女性だけでなく、『やっぱかわいいなあ』と褒められている女性に対しても、セクハラが成立する可能性があります。

というのも、仕事内容ではなく、女性の容姿だけに価値を置いた言動という意味で、女性を侮辱したものであるといえるからです。

したがって、男性の女性をけなす発言、褒める発言、いずれもセクハラで、懲戒対象になる可能性があります」

●発言した男性が「イケメン」だったら?

一方で、ツイッターでは「(男性が)イケメンだったら炎上しなかったと思うんだけどな」といった声もあがっている。

「もし仮に、発言している男性がイケメンであっても、その言動が女性を不快な気分にさせることには変わらないので、セクハラに該当します」

では、今回の動画は、どういう内容であれば「炎上」せずにすんだのだろうか。

「このCM動画は、主人公の女性がセクハラを受けているにもかからず、男性の発言に応じて、容姿をキレイにして『職場の華』になろうと決意したことを思わせる内容でした。

もし、女性が男性の発言に奮起して仕事を頑張って昇格したり、男性がこのセクハラ発言を理由に降格されて女性の部下になるといった内容なら、今の時代にあっていて、視聴者の賛同も得られたかもしれませんね」

高木弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

高木 由美子
高木 由美子(たかぎ ゆみこ)弁護士 さつき法律事務所
第一東京弁護士会所属。米国・カリフォルニア州弁護士

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