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「父をいまでも愛している」オウム麻原死刑囚の「三女」が語った複雑な思い
松本麗華さん(左)

「父をいまでも愛している」オウム麻原死刑囚の「三女」が語った複雑な思い

オウム真理教による「地下鉄サリン事件」からちょうど20年となる3月20日の夜、麻原彰晃(松本智津夫)死刑囚の三女、松本麗華さんがインターネット動画サービス「ニコニコ生放送」の番組に出演した。

松本さんは、地下鉄サリン事件当時、11歳。「アーチャリー正大師」と呼ばれて、オウム真理教の後継者と目されていたが、ちょうど、反抗期に差し掛かっていた時期で、「家出して旅しようと思っていたときに、警察の強制捜査があった」のだという。

聞き手となったジャーナリストの田原総一朗さんから「あなたにとってオウム真理教はなにか?」という質問を受けると、松本さんは「私にとってオウムは、宗教的な要素がある町。その中で生活をしていただけなので」と答えた。また、現在は教団を離れているといい、「宗教活動については今のところ興味はない」と話した。

●「守ってあげないといけない赤ちゃん」

そんな松本さんにとって、父・麻原死刑囚はどのような人物だったのだろうか。松本さんは「どっしりとして大きく、やさしかった。(オウムという町の)町長さんという感じでした」と話す。しかし、教団が大きくなっていくに連れて、「おかしくなった」のだという。

松本さんは、麻原死刑囚が収監されてから計28回も面会した。「一度もまともなコミュニケーションがとれなかった」そうで、収監されている麻原死刑囚は「こわれてしまっている」という。しかし、そんな父のことを松本さんは「今でも愛している」と話した。

田原さんが「ずっとお父さんを愛しているのか?」と聞くと、松本さんは「複雑な思いを持っていた。こわれる前は『包み込んでほしい』と思っていた。今は『守ってあげないといけない赤ちゃん』みたいな気持ちです」と語った。

●田原氏「なんで、そんな危険なことを敢えて言うんですか」

一方、父への愛情を隠さない松本さんと違って、「麻原死刑囚の死刑を早く執行してほしい」という妹(四女)について尋ねられると、「コメントを控えさえてください。妹が苦しんでいることはたしかです」と述べるにとどまった。番組で「娘が父の死刑を望むことは?当然?間違っている?」という視聴者アンケートを実施したところ、「当然」が63.1%、「間違っている」が36.9%という結果が出た。

これを受けて、田原さんは「妹さんよりあなたのほうが危険なことを言っているわけね。死刑執行はみんなに理解されやすいと思う。なんで、そんな危険なことをあえて言うんですか」と気を使いながら問うと、松本さんは「父を愛していると言葉に出す人が世界中にいないからです」と静かに答えていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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