環太平洋連携協定(TPP)の交渉で、各国の調整が難航しているといわれている知的財産権をめぐり、ネットユーザーや専門家などでつくるグループが3月13日午後、東京都内で記者会見を開き、交渉を透明化するよう求める緊急声明を発表した。
このグループは、「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」(thinkTPPIP)。声明の中で、著作権の「保護期間延長」や「非親告罪化」など知的財産権の分野にかんする交渉が「非公開」でおこなわれていることを批判した。さらに、各国の利害対立が大きい知財条項を妥結案から外すよう求めている。
グループは2月23日に声明案をインターネット上で公表し、賛同や意見の募集を呼びかけた。3月13日までに、70団体、238人が声明案に賛同したという。13日午前には、フォーラムを代表して、福井健策弁護士や一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事の津田大介さんが東京・霞が関の内閣府を訪れ、西村康稔副大臣に声明文を手渡した。
●「われわれの戦いはそろそろ終盤」
福井弁護士は会見で、声明文を渡したあとの西村副大臣との協議を振り返り、「全体的に前向きな内容だった」と述べた。福井弁護士によると、西村副大臣は「さまざまな懸念があることは十分承知している。保護期間の延長、非親告罪化も踏まえたうえで、みなさんに納得いただけるような最終案になるように、交渉に全力を上げたい」と話していたという。
また、津田さんによると、内閣府側から「(知財分野で強い要求をしている)米国は来年、大統領選挙があり、TPPの合意を議会で通す必要もあるので、逆算すると今年6月くらいまでに妥結せざるを得ないのではないか。でも、まだ見通しはたっていない」という話があったという。
津田さんの発言を受けて、賛同者の一人として、声明文提出と記者会見の両方に同席した漫画家の赤松健さんは「『われわれの戦いはこれから』じゃなくて、『そろそろ終盤だ』ということです。応援をよろしくお願いします」と述べ、TPP交渉の時間があまり残されていないことに警鐘を鳴らしていた。