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忘年会帰りの「タクシー」に乗る前に「トイレ」に寄っておいたほうが良いワケ
運転手にとっては、さぞや迷惑なことだろう

忘年会帰りの「タクシー」に乗る前に「トイレ」に寄っておいたほうが良いワケ

年の瀬の飲み会は羽目を外しがちだが、うっかりすると大変な目にあう。東京都内のIT企業で働くHさん(28)に不幸が襲いかかったのは、職場の忘年会に参加した「帰り」のことだった。楽しさのあまり終電すぎまで居残ってしまい、タクシーで帰ることになったHさんに悲劇は起きた。

後部座席に乗り込み、行き先を告げ、しばらくボーッとするHさん。暖かい我が家まであと30分くらい・・・。そう気を抜いた瞬間、突如として飲み過ぎによる尿意に襲われた。必死に我慢しようとしたが、あっという間に限界に達し、タクシーを止めるまでもなく、車内で「失禁」してしまったのだ。

このあとHさんは、運転手からこっぴどく怒られたうえ、「クリーニング代を払え!」と要求されたそうだ。こんな場合、クリーニング代を支払うしかないのだろうか。中村憲昭弁護士に聞いた。

●クリーニング代だけで済まない?

「今回の場合、Hさんはクリーニング代を支払う必要があるでしょう。さらに、クリーニングが終わるまで営業車を稼働できなかった分の損害(逸失利益)も、支払わなければならない可能性があります」

中村弁護士はこう述べる。どうしてなのだろうか。

「民法上、過失によって他人に損害を与えたら、それを賠償しなければなりません。

そもそも、お酒をたくさん飲むとおしっこに行きたくなるものです。そして、いつか尿意の限界に達すると予見できるでしょう。それにもかかわらず、Hさんがトイレに行かずにタクシーに乗ったとしたら、過失があると言わざるをえません」

Hさんは支払いを拒否できないのだろうか。

「個人タクシーではなくて、会社のタクシーの場合、被害者は運転手個人ではなく、タクシー会社です。

したがって、運転手からの直接的に請求された場合、『被害者である会社と話をさせてほしい』と述べることは可能です」

しかし結局は、会社から請求されてしまうということか・・・。

「そうですね。さらに時間が経てば経つほど、請求額が大きくなる可能性があります。運転手からの請求がよほど法外なものでない限り、その場での支払いに応じたほうがよいでしょう。

ただし、手書きでもいいので、クリーニング代を支払った、弁償したという領収証をもらいましょう。後日、タクシー会社から二重の支払いを求められたら、目も当てられませんからね」

中村弁護士はこのようにアドバイスしていた。年末年始に飲み会に参加する人も多いだろうが、タクシーで遠くまで帰る場合は、乗車前にトイレに寄っておいたほうがよさそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

中村 憲昭
中村 憲昭(なかむら のりあき)弁護士 中村憲昭法律事務所
離婚・相続、交通事故など個人事件と、組織が万全でない中小企業を対象に活動する弁護士。裁判員裁判をはじめ刑事事件も多数。その他医療訴訟や建築紛争など専門的知識を要する分野も積極的に扱う。

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