2014年12月12日 13時33分

ペヤング騒動の広報対応は「空気」を読めていなかった? 広報コンサル社長に聞く

ペヤング騒動の広報対応は「空気」を読めていなかった? 広報コンサル社長に聞く
フライシュマン・ヒラード・ジャパンの田中愼一社長

インスタントカップ焼きそば「ペヤング」にゴキブリらしき異物が混入していたというツイートと写真が、12月2日夜からツイッターで拡散され、騒動に発展した。製造・販売元の「まるか食品」(群馬県伊勢崎市)は12月11日、全商品の販売休止と全工場での生産自粛を発表する事態に追い込まれた。ネットを通じて急速に情報が拡散するなかで、同社の「広報」対応は適切だったのか。広報戦略のコンサルティングを手がけるフライシュマン・ヒラード・ジャパンの田中愼一社長に「クライシス(危機)発生時の対応」を聞いた。

●何を言っても「加害者」として見られる

——今回のような「クライシス」が発生した場合、どのような対応が求められるのか?

「どういったメッセージを発信するのかが重要になります。クライシスがいったん起きると、『加害者』としての色を塗られてしまいます。重要なのは、まず『お前、悪いやつだろう』と世間に見られているという『空気を読む』ことです」

——「まるか食品」は問題発覚直後の12月3日の時点で、弁護士ドットコムの取材に対して、「(製造過程での)混入は基本的には考えられない」とコメントしていたが、11日には「否定できない」という見解に変わった。当初の断定的な見解に問題はなかったのか。

「空気が変わらない状態では、何を言っても『加害者』と見られてしまいます。クライシスの場合、自己主張はダメです。当事者意識を示して、『空気を変える』必要があるのです。

ベネッセの個人情報流出問題でも、問題を公表した当初に原田泳幸・会長兼社長が『(情報を流出させたのは)当社グループ社員ではない』と発言したり、個人情報を入手したジャストシステムを批判したりしていました。加害者と思われているなかで、このようなコメントをすることは、『逃げているんじゃないか』『自分のことを被害者と思っている』とみられてしまいます」

——ただ、今回のケースでは異物が製造過程で混入したかどうか、すぐには分からなかった。不透明な状況でどんなメッセージを出せばよかったのか。

「もちろん、すべてが分かっているようなことはないでしょう。ここまでは分かっていて、ここからは分からない、ということを示すべきです。分からないことがあっても、『こういう方法、こういうステップで調べています』という『姿勢』を示すことはできます。

そのメッセージを受け取る側は、『当事者意識を持って対応している』と理解してくれるようになります。

クライシス対応の流れとしては、(1)空気を読む(2)空気を変える、という2つのステップを経てから、(3)会社の立ち位置を作るためのメッセージを発信する、ということが重要なのです。ほとんどの企業が、空気が変わる前にメッセージを発信してしまいます」

●クライシスが起きた場合、2時間以内にメッセージを出すべき

——今回、ツイッターで当事者が投稿したことで、マスメディアよりも早く情報が広がってしまった。

「マスメディアだけでなく、もっとネットのことを理解しなければなりません。今回の件では、企業の担当者が、画像を投稿した人に謝罪に訪れた際のやりとりまでツイッターで発信されていましたが、ネットで発信されることを前提に対応する必要があります。ネット社会が進むなかで、ますますクライシス対応の難易度は高くなるでしょう。

さきほどお話したクライシス対応の3ステップのなかで、これまでは(1)空気を読む(2)空気を変える、というステップはさほど必要ありませんでした。しかし、ネット社会が訪れたことで、この2ステップがより重要になっています」

——今回、12月2日夜に問題の画像がツイッターに投稿されてから、「まるか食品」は4日午後に自主回収の発表をするまで、何もメッセージを公表しなかった。初動のスピードに問題はないのか。

「もちろんメッセージの内容が重要になってきますが、スピードの面からは、クライシスが起きた場合、2時間以内に正式に発信することが原則です。

しかもネット社会が進むことで、さらに早く対応することが求められています。企業トップとつながっていて、2時間以内に判断を仰ぐことのできる担当者がいることが重要になります」

(弁護士ドットコムニュース)

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